4−2−8 音更川−札内川断層

地質断層としては,地表の地質露頭状況が悪いため,反射法地震探査およびボーリング地下断面によって解釈するしかない.音更川を東西に横断するボーリング断面では,芽登凝灰岩基底高度に約30〜40 mの差があることが予想される.しかし浅層反射法地震探査下士幌測線(R6)では,音更川−札内川断層の想定位置では反射面の傾動・撓曲,断層は認められない.また,”下盤側”である音更川地下の芽登凝灰岩層準は芽登凝灰岩などを母材とする河川堆積物の可能性が高く,比較的マッシブな軽石流堆積物である”上盤側”の芽登凝灰岩と等価に扱うことはできない.これらを総合すると,音更川−札内川断層沿いに地質断層を設定する根拠は乏しい.一方,地形学的にも,リニアメントが地形面境界となるため,変位基準が存在せず断層の有無を議論するべきではない.現時点では,音更川−札内川断層の存在を積極的に主張する科学的証拠は指摘できない.