4−1 ストリップマップの作成

ストリップマップの作成にあたっては,その使われかたを考慮した,十分なデータに基づいた慎重な検討がなされるべきである.本調査は,調査フローに示したように詳細調査の成果後の4年次目に最終的な総合解析を行ない,活動性の評価を行う予定である.

十勝平野断層帯の調査では,帯広以南の地域については比較的新しい(最近数万年間以新)地形面の編年が進んだこと,活断層周辺の地質構造に関してかなりの情報が得られたことなど,大きな進歩が得られたと考えている.また,途別川断層,旭断層,光地園断層に関しては,変位地形と考えられた地点に関して,それが構造性のものかどうか,変位をうけている地質の編年など,より詳細な地形地質,極浅部の地下構造の情報が得られ,旭断層に関しては少なくとも過去1万3千年間に断層が活動していないこと,光地園断層については,地質断層とは位置が若干ずれ,年代基準に乏しいながらも過去4万年より以降に繰り返し活動していることが明らかとなったこと,途別川断層については従来同断層による変位地形と考えられていたものが十勝平野東部に形成された古砂丘地形である可能性が高いこと,等多くの重要な知見が得られた.しかしながら,断層帯北部を構成する押帯断層,東居辺断層,士幌川断層については前期〜中期更新世以降には明らかに傾動運動が存在するものの,過去数万年間の活動の有無については,現時点では検討困難である.音更川−札内川断層,稲穂断層については,少なくとも地表踏査および浅層反射法地震探査の結果を見る限り地表のリニアメントが断層変位であるとは言えない.本調査によって得られたデータを総合する限り,この2つのリニアメントが活断層であるとする科学的根拠は乏しいと言わざるを得ない.押帯断層,東居辺断層,士幌川断層,音更川−札内川断層,稲穂断層については,現時点ではこれ以上調査を投入しても判断データのさらなる蓄積は望めない.