(6)下士幌測線(R6)

マイグレーション後の深度断面から本測線の反射構造は次のように考えられる。一見して、測点300〜330付近にかけて東へ向かって急立していることが伺え、その両側はR5測線よりも西に向かって傾斜する傾向が強いことが伺える。

測点300〜330付近の急立帯の両側の反射パターンは良く類似しており、反射面の分布密度・屈折トモグラフィー解析による速度分布から、深度方向に大きく分けて4つの反射面に区分できる。

@ 表層〜標高20(最大30)m程度の範囲:反射面が認められず、弾性波速度は1600m/sec以下である範囲。この範囲は、探査仕様により分解能が悪い可能性もあるが、弾性波速度が遅いという点で一つの地質を構成している可能性が高い。

A 標高20(最大30)〜西側−120m,東側−80m程度の範囲:非常に連続性の良い2枚の反射面の上部にあたる範囲である。反射面は不明瞭ながらも連続性が良く、間隔が比較的短く、長波長の凹凸を繰り返しながら緩く西へ傾斜している。ただし、測点230−270では上向きの凸形状を示しているように見える。

B 標高西側−120m〜−700m,東側−80m〜−550m程度の範囲:反射面の間隔が比較的長く、反射面の小規模な屈曲が認められるものの、全体に西に向かって緩やかに傾斜している範囲。ただし、測点220−270では上向きの凸形状を示しているように見える。

C 標高西側−700m(東側−550m以深の範囲):東側については反射面が不明瞭なため、議論が難しい。西側については、全体に反射面は断続的であるが、反射面の間隔が長く、長周期の凹凸を繰り返し、大局的には西に向かってやや傾斜している範囲。ただし、測点.200−280では上向きの凸形状を示しているように見える。

急立帯の傾斜の累積性については、R5測線では顕著に認められたが、R6測線ではさほど顕著ではない。

岡(1999,2000)によればR6付近における地質は表層から10〜30mが段丘堆積物、それ以深が渋山層・芽登凝灰岩・池田層である。段丘堆積物とそれ以深の地層の境界は@に含まれ反射面としては抽出できない。よって、反射面は渋山層ないし下位層ということになる。道立地質研究所の調査資料によれば、測線上には東側より、南北方向に伸びる士幌川断層の南方延長部,音更川−札内川断層が位置していおり、それぞれ測点290付近,80付近に示されている。 マイグレーション後の深度断面上では、測点300〜330付近にかけての急立帯として士幌側断層を捉えることができる。傾斜の累積性としてR5ほど顕著でない。またデータも悪い。音更川−札内川断層については、構造運動の存在を類推させる積極的な証拠は得られなかった。

不自然な反射面としては、測点220−270付近の標高20m〜標高−700m付近まで認められる凸型の反射面が認められる。

道東自動車道建設関連資料によるボーリング調査では芽登凝灰岩の基底標高が40mとされており、これは測点310付近にあたるが、これに対比できる反射面は認められない。