2−4 調査地点および調査範囲

[地形地質調査(直営)]

十勝平野断層帯の北半部についてリニアメントの前後幅3kmの210km2について空中写真判読を,同リニアメントの幅1kmの70km2について現地踏査を実施した(図2−1).また,地形面・変位基準の年代を決定するためC14年代測定,テフラ分析を行った.

トレンチ調査の適地選定のため,旭断層,途別川断層について踏査した.踏査範囲は,旭断層は音更町東旭の2km2,途別川断層は帯広市愛国〜幕別町途別の7km2.なお,光地園断層についても,トレンチ調査適地のさらなる絞り込みのため,広尾町上野塚において補足踏査を行った.トレンチ候補地周辺については,1/8,000のカラー空中写真を購入し,さらに詳細な地形判読を行った.

現地では,柱状図の作成,地質試料の採取を行なった.

[ピット調査(委託)]

地表踏査で絞りこまれた地区において,トレンチ調査に先立つ詳細な地質状況を把握するために,ピット調査を実施した.

実施対象は旭断層,光地園断層,途別川断層である.いずれの断層でも,リニアメント付近において各2ヶ所づつ,計6ヶ所実施した.ピットから採取した試料について,14C年代測定を行った.

ピットは,幅3m×奥行3.5m×深さ2m,法面勾配75°を原則とし,用地の周辺について平板測量(1/200)を実施した.そのほか詳細な仕様については,次章の調査結果で述べる.

[重力探査(直営)]

音更川−札内川断層,稲穂断層,士幌川断層を対象に,断層を横断する方向で重力探査(プロファイル測定)を行った.測線は音更川−札内川断層〜士幌川断層(南方延長部)を対象に74点,稲穂断層〜士幌川断層を対象に87点kmの,計161点である.これらは,本年度実施した反射法地震探査測線(後述)と同一線上である.

[反射法地震探査(委託)]

音更川−札内川断層,稲穂断層,士幌川断層を対象に,活断層の位置・構造を把握する目的で,P波浅層反射法地震探査を実施した.測線は音更川−札内川断層〜士幌川断層(南方延長部)を対象に3.8km,稲穂断層〜士幌川断層を対象に4.08kmの,計2本である.

起震点,受震点間隔は10mとし,起震にはミニバイブを用いた.

[ボーリング調査(委託)]

地下数m〜数十mの地下浅部の地質構造解明のため,旭断層,途別川断層,光地園断層を対象にボーリング調査を実施した.掘削の最終孔径は86mm,オールコアボーリングとした.

実施数量は,旭地区が3孔のべ24m,上野塚地区が2孔のべ33m,栄地区が5孔のべ36.9m,愛国地区が3孔のべ99.3mである.

[トレンチ調査(委託)]

旭断層および光地園断層について各1ヶ所,計2ヶ所で実施した.トレンチの規模は,幅10m×奥行20m×深さ5m,法面勾配60°以下を原則とした.また,トレンチ実施地点の周辺について,平板測量(1/200)を実施した.

トレンチのスケッチは原則1/20で実施し,断層活動による変形構造など記載した後,地震イベントを解明するために試料の14C年代測定を実施した.

そのほか詳細な仕様については,次章の調査結果で述べることにする.