3−4 ボーリング調査

富良野市八線及び同市東鳥沼において実施した反射法地震探査記録を解析する上で,沖積層等の地下浅部の地質層序を明らかにすることを目的に,八線の測線上においてNF−1孔(掘削深度38.5m)及びNF−2孔(掘削深度20m)を,東鳥沼の測線上でR−1孔(掘削深度50m)を,それぞれ掘削した(図4−1).

また,富良野市中御料において,既存文献に示されている中御料断層について,その存否の確実性,断層の位置,活動性などを明らかにすることを目的に,NG−1孔(掘削深度10m),NG−3孔(掘削深度20m),NG−5孔(掘削深度45m)及びNG−6孔(掘削深度65m)の4孔掘削した(図4−1).

各ボーリングの座標,孔口標高,掘削深度は,表4−1に示すとおりであり,掘削総延長は,248.5mである.

ボーリング調査は以下の手順で行った.

a.調査地点及び用地決定

地権者立会いのもと,担当員の指示により掘削箇所を決定して,作業用地を設定した.調査用地には,工事看板等を設置し,部外者が無断で立ち入ることのないようにした.

b.測 量

ボーリング地点の標高及び座標を求めるために,担当員が指示する基準点の標高を用いて,測量を実施した.

c.搬入・仮設・工事用水

機材の搬入にあたっては,現地の状況を十分に把握した後,ボーリングを実施するための仮設備として,資材置場,給水施設,ボーリング足場,櫓,発電機を設置した.

[資材置場]

ボーリング調査に用いる資材のうち,一時的に不必要なものは資材置場に仮置きした.資材置場には,ロープ,バリケード等を設置し,関係者以外の立ち入りによる事故を防ぐ.資材は,作業に支障をきたさぬよう,安全性を考慮して配置し,常に整理整頓を心掛けた.

[ボーリング用水]

ボーリング用水は,ボーリング地点に最も近い河川に溝を設け,給水ホースを用いてボーリング地点まで送水を行った.ボーリング掘削に使用した泥水の処理については,ドラム缶等で一旦スライムを沈殿させ,土嚢袋等につめて処理施設に運搬・処理した.

[ボーリング作業スペース・足場・櫓]

ボーリング作業スペースは,試錐機,発電機,通勤用車両の駐車場等を含め30u程度を使用した.

足場は2m×3m程度の範囲を整地し,トラッククレーン等を用いて,単管パイプ及びクランプにより組み立て,足場上は,足場板を隙間がないように敷き,作業の安全性に問題がないようにした.ロッド揚降管に必要な櫓は,鉄製パイプを使用し,高さ3m程度とした.

d. ボーリング掘削工

ボーリングは,口径86mmのオールコアボーリングとし,100m級ロータリー式オイルフィード試錐機により掘削した.掘削は,普通工法によりダブルコアチューブを用いてコアリングを行い,不撹乱でコア採取率が100%となるよう努めた.孔壁の崩壊が予想される区間では,ケーシングパイプを挿入し,孔壁の保護に努めた.

ボーリングの堀り止めについては,地質状況を担当員に報告し,その指示に従った.

e.コア観察及び写真撮影

採取したコアは,1m毎に区切り,5mコア箱に収納し,上下方向・深度を明記し,写真撮影,地質観察・スケッチを行った.コアのスケッチ及び層相等の観察内容は,1/20のコア観察カードに記載した.作業にあたっては,年代測定の汚染の原因となる軍手などの繊維質なものがコアに直接ふれないよう注意した.

そして,コア観察結果及びスケッチに基づき,縮尺1/100程度の柱状図を作成した.

f.試料採取及び分析

コアの観察結果に基づき,14C年代測定用試料及び火山灰分析用試料の採取を行った.採取した試料はビニール袋に入れ,ボーリング孔名・試料番号・採取位置・試料名などを明記し,柱状図及び観察カードに採取位置を加筆する.特に,14C年代測定用試料については,現生の炭素が混入することがないように留意して,アルミ箔に包んでからビニール袋に入れた.採取した試料のうち,担当員と協議の結果,9試料について14C年代測定を,9試料について火山灰分析を,それぞれ実施した.