3−2−1 測定方法と観測点

重力測定は,麓郷断層と中富良野ナマコ山断層および御料断層を横切る2測線(鳥沼・御料測線)でのプロファイル測定と,富良野盆地内およびその周辺の広域的な傾向を把握するための広域測定の2種類を行った.観測点は,プロファイル測定では約50m間隔で配置し,広域では調査域を緯度経度それぞれ1分のメッシュに区切り,メッシュ内で最低1点測定するようにした.両測定の探査位置図を図2−1−1に示す.

 測定にはScintrex社製重力計CG−3Mを使用し,観測はプロファイル測線で134点,広域で110点の合計244点で実施し,これまでにプロファイル測線全点と広域91点の計225点で解析が終了している(資料2.1−1).調査には閉塞方式を採用し,4等三角点“学田”を現地基準点とし,北海道大学内一等重力点(980,477.57 mGal)と結合して基準となる重力値を決定した.

各測点の緯度・経度・標高データであるが,プロファイル測定の観測点については水準測量(トランシット測量)より算出した.精度は水平方向で±1m程度,標高については±10cm未満であるため,0.1mGalオーダーでの議論を行うのに十分な精度である.広域観測については水準点,三角点および1/25,000地形図・1/5,000国土基本図に示されている標高点を主に使用し,周囲にそれらの点が無い場合,GPSによるラピッドスタティック測量を行って位置を決定した.これらの決定精度は最大でも1m程度で,重力値の精度は1mGal以下である.各々の調査の詳細については表2−1−1に記載している.

各測点に対するブーゲ異常値算出であるが,

 BA=g−γ+βh−BC(ρ)+TC(ρ)+AC

の式から決定している.なお,ここで

    g:絶対重力値(観測値に潮汐,ドリフト,器高補正を施したもの)

    γ:正規重力値

    β:フリーエア勾配

    h:標高

    BC:ブーゲ補正値

  TC:地形補正値

    AC:大気補正値

    ρ:補正密度

である.

ブーゲ補正および地形補正に必要な補正密度値を求めるためにg−h関係を求めたところ,分散が大きくなるため,近似直線を引くことが出来なかった.このため,一般的な地殻の平均密度である2.67g/cm3を採用した.各補正方法の詳細については表2−2−2に示した.

さらに,北海道大学(地震火山研究観測センター)による重力探査の未公表データ(計51点)を加えた.このデータは,1997年富良野市北西部での地震(M3.7)発生時に行われたもので,GPSによるラピッドスタティック測量により位置決定を行っている.今回の解析では,この調査から求められた観測重力値を用い,先の観測結果と同様の過程でブーゲ異常値を算出した.

以下,それぞれの観測に対して解析した結果について解説する.