(2)広域測定

途別川断層沿いには顕著な地形変化(撓曲)が見られないことから、広域的な重力異常を調べるため、大正町から南は幸福町、帯広空港、似平町、東は桜木町にわたる広範囲の測定を設定した。使用した重力計はプロファイル測定と同器である。

大正町管内の重力基点は、国土地理院一等水準点8165とし、基準重力値は、プロファイル測定で求めた値を用いた。期間中のドリフト値は、−5〜22μGal/hourの範囲(平均約16μGal/hour)であった。各測点には、プロファイルと同様の補正を施し、各点のブーゲー異常値を求めた。計算にはIGRS80の実用式を使用し、ブーゲー補正、地形補正の密度は2.67g/cm3と仮定した。以上の補正後の重力値の一覧を表3−2−2−5表3−2−2−6表3−2−2−7に示す。

多くの測定は、国土地理院の一等水準点、三等及び四等三角点、帯広土木現業所3級基準点及びBM、十勝支庁2級基準点、3級基準点及びBM、北海道開発局BM、帯広開発建設部3級基準点、帯広市BM、中川郡幕別町BMなど標高値が既値である場所で行った。その他は、国土地理院発行の1/25000地形図、及び1/5000国土基本図(写真図)から標高を読んだ。測点数は、計115点である。

図3−2−2−8に、2mGal間隔のブーゲー異常分布を示す。ブーゲー異常の傾向は、西部で大きく東部に行くにしたがい小さくなる。20mGalのコンターは北部で尾根状の張り出した異常がみられるが、ブーゲー異常の構造は比較的波長が長いため比較的深部による地下構造に反映していると推定される。

推定される途別川断層は、20mGalコンターとほぼ水平で、断層の存在を示す顕著な異常はみられない。

参考文献

西谷ほか(1988):パーソナルコンピュータによる重力の地形補正計算,秋田大学鉱山学部資源地学研究施設報告書,53,77−85.

Longman,I.M.(1959):Formulas for Computing the Tidal Accelerations Due to the Moon and the Sun,Jour.Geophysical Res.,64,2351−2355.