(1)トレンチ掘削

地質断層に相当する箇所でトレンチを掘削した.その結果,基盤岩の望来層と,段丘砂礫が断層を境に接しており,地盤の変形は,地表面下1m付近まで及んでいることが明らかとなった.

○NW面

トレンチNW面では,SW側底部に基盤岩の望来層(泥岩:W層)が確認され,その上部に分布する砂礫はSW側が上昇している.以下SW側を「上盤側」と称す.

表層を覆う表土,土壌の下位に褐灰色のシルト〜シルト質粘土(T層)が分布する.本層は,NW面では下盤側で多少厚く分布するものの,明瞭な変位,変形は認められない.T層の下位,基盤岩上の砂礫までの間には,砂質シルト,火山灰質シルト,粘土,有機質シルト〜粘土,細〜中礫を主体とする砂礫が分布する.これらをU層とする.U層は,下盤側に厚く堆積し,特に下位砂礫の直上に分布する細〜小礫主体の砂礫および粘土・有機質粘土は,ほとんど下盤側のみに分布し,一部は断層による変位を残している.U層の下位には,上記基盤岩上の砂礫(V層)が分布している.V層中の断層面のトレースは,微少な変位基準面が少ないことから,困難である.

○SE面

トレンチSE面も同様に,SW側底部に基盤岩の望来層(泥岩)が確認され,その上部に分布する堆積物の構成も同じである.

T層は,上盤,下盤側とも同様な厚さであるが,基底部の砂が断層によって変位させられている.この小断層は,U層全体を貫き,V層の砂礫に達して不明瞭となる.SE面においてもU層は,下盤側に厚く堆積している.

○NE面

NE面は,断層の下盤側に位置し,T層〜V層が確認された.

○SW面

SW面は,断層の上盤側に位置し,T層〜W層が確認された.

写真3−3−2−1 トレンチ全景(青山中央神社地区)

写真3−3−2−2 青山中央神社SE面壁面状況

図3−3−2−1 トレンチスケッチ図(青山中央神社NW,SE面)(1:50)

図3−3−2−2 トレンチスケッチ図(青山中央神社NE,SW面)(1:50)

図3−3−2−3 トレンチ解釈図(青山中央神社NW,SE面)(1:50)

図3−3−2−4 トレンチ解釈図(青山中央神社NE,SW面)(1:50)