(3)調査地の選定(ピット,ボーリング,トレンチ調査)

セグメントaでは,以下のように考察し,ピット・ボーリング・トレンチの調査地を決めた.

まず,活動したことが明らかな,青山中央神社にてピット調査をおこない,地層の変位を明らかにする.その後,一番川南部において,同様の調査をおこない,地質構造を決定する.青山中央神社では,側方の崖に地層が露出しているので,地下の状況は明らかである.それに対して,一番川南部の1mより深い状況については全く不明である.したがって,ボーリング調査をおこなうこととする.これらの調査の結果,最新活動時期を特定できる箇所を総合的に判断し,トレンチの候補地を決めることにした.

セグメントdについては以下のように考察し,ピット・ボーリング・トレンチの調査地を決めた.

北海道埋蔵文化財センターによる「吉井の沢遺跡報告書」や現地の地形の状況,検土丈の結果から判断すると,吉井の沢については,

・ 自動車道建設以前の地形図には,吉井の沢は現在よりも北側(畑地の北側)を通過している.その地形は消失しており,人工改変および沢のチャネル充填堆積物によって,イベントが消失している可能性が高い

・ 吉井の沢遺跡に近く,遺物のでる可能性が非常に高い

の理由から調査不適とし,調査対象から除外した.

そこで,残りの大麻,大麻東中西部,吉井の沢北部について検討した.

大麻については,側溝の深さが,2m〜1mあり,浅部の構造はすでにわかっていこと,イベントが約5,000年前より新しいということがすでにわかっており,これ以上の成果をこの地点に求めることは難しいと考える.ただし,撓曲の位置がわかっているので,5,000年前より前のイベント・変位が明らかになる可能性はあり,トレンチの候補地に含めておいた.したがって,ここではピットは行わず,ボーリング調査(各深度10m)を4本配置し,中深部の地質状況が明らかになった時点で,再度検討することにした.

大麻東中西部と吉井の沢北部については,どちらも,小規模な沢地形の先であることから,地質状況に大差はないと判断した.したがって,ピット調査で地質状況をより詳細に検討し,傾動の位置や地質構造について明らかにする.そして,どちらかのトレンチ有望地において,ボーリング調査を実施し,中深度の地質状況を把握する.そして,最終的に3地点のいずれかで,トレンチを掘ることとすることとした.