3−3−4 まとめ

ボーリング調査、トレンチ調査、分析結果について解析を行い、既往調査結果とあわせて総合的な解析を行い、断層の活動特性(活動の再来間隔、最新活動時期および単位変位量等)について検討した。解析は以下の点に着目して行った。

@)ボーリング調査、トレンチ調査の際にフィールドで設定した地層区分と、年代測定結果、火山灰分析結果等との比較検討を行った。

A)トレンチ調査における観察事項から、断層活動のイベント層準とその確実度を決定し、得られた地層の年代値をもとに個々の断層の活動時期を推定した。また、泉郷地区のトレンチ及びピットについては、同一断層の活動を示すイベント等が記録されていると考えられることから、2地点で得られた断層の活動性,活動時期、単位変位量等の整合性についても検討した。

B)断層変位基準の変位量と年代値から、各断層の活動性の評価を行った。

 ボーリング調査及びトレンチ調査結果をもとに作成した泉郷地区(嶮淵川沿い)と富岡地区の地質解析断面図を図3−3−19図3−3−20に示す。この断面図から推定した各変位基準の傾斜変位量をまとめ,表3−3−3に示す。また,トレンチ・ピット調査から確認されたイベントをまとめ,図3−4−1に示す。

以上2箇所のトレンチ調査を実施したが、特に富岡のトレンチ調査においては、当初の予想どおり、河川沿い低地の変位面に着目した結果が功を奏し、完新世の見事な活断層露頭を出現させることに成功した。一方、泉郷のトレンチ調査に置いては、完新世の最新活動の認定には、やや難があったが、近傍でのピット調査と合わせて最新および一つ前の活動明らかにでき、まずまずの成果であったと言える。上記のAとBに関わる詳しい評価は総合解析の中で行うこととし、以下に、前年度に実施した極浅層反射法地震探査(S波、早来測線)の解析結果からの地質構造予想と今回の富岡ボーリング・トレンチの結果が大きく食い違った点(すなわち、新第三系の追分層が馬追断層の上盤側で極めて浅くに出現したこと)に関連して、再解析結果を示す。

付:平成11年度トレンチ調査後の反射法探査再解析結果(早来地区)について

平成10年度に実施された早来測線のS波反射法探査結果に基づき、本年度(平成11年度)、トレンチ調査(1箇所)、ボーリング調査(4本)が実施された。

その結果、新たな知見も得られたため、S波反射法探査の再解析を実施し、解釈についても検討を加えた。以下に、それらの結果について述べる。

〔H10年度実施結果〕

@標高10〜−20m付近(報告書では標高0〜−10m付近と表示)に強い反射面が認められる。

A@の強い反射面は第四系と第三系の境界に対応するものと考えられる。

B強い反射面の上位層、すなはち第四系に相当する重合速度は300〜450m/sで、屈折波の解析でも同程度の速度値が得られた。

C表層付近の反射面(第四系相当部分)のパターンが測線前半部(南西)と後半部(北東)で異なるため、地層分布に変化がある。

D速度分布においても測線前半部(南西)と後半(北東)で僅かに異なる。(後半部の速度の方が大きい)

E強い反射面の傾斜変化から判断して測線上、250m付近に構造的な異常が存在する可能性があり、その異常は断層の可能性が大である。 

FEで記述した異常が断層とすれば低角逆断層と推定される

G測線350〜440m付近にも断層を示唆するような反射面の乱れが存在する。

〔平成11年度再解析結果〕

前述したように本年度(平成11年度)は、トレンチ調査(1箇所)、ボーリング調査(4本)が実施され、新たな事実が判明したが、反射断面評価をする上で関連性が強い本年度の調査(トレンチ調査、ボーリング調査、踏査)結果は以下に示す項目である。

@)第四系はCDP番号(距離程と大きくは異ならないが厳密に言うと違う)371m付近を境にして層厚が異なる。

A)平成10年度の反射法探査結果、既存資料等から低角逆断層と考えていたが見かけ上60〜70°の角度を持つ逆断層と判断される。

B)第三系の上面は断層を挟んで西側では標高30m付近、東側では標高15m付近にフラットに分布する。

これらの事実が明らかになったため、平成11年度反射法探査によって得られた反射波の取得データの再処理、再解析を行った。

その結果を以下に記述する。

@多くの反射面が存在するが、特徴的な反射面は、CDP番号71〜221付近(標高10〜−18m付近)に南西傾斜の強い反射面が存在する。

Aその強い反射面は第四系と第三系の境界では無く、第三系の中の反射面である。

B第三系の中の反射面が何に相当しているかは、ボーリングデータ等がないため推定するのは難 しいが、礫層等、周囲とインピーダンス(速度*密度)が異なる層が分布していると考えられる。(そのため、昨年は周囲とインピーダンス(速度*密度)が異なる層、すなはち第四系と第三系の境界であろうと判断していた。)

C反射探査結果を見ると、断層の位置は標高0m(CDP番号351m付近)で反射波が途切れ、更にその上部も反射波の乱れが存在するため、CDP番号371m付近と考えても矛盾しない。

D反射結果からは、CDP番号241〜271にかけても高角度の断層が推定される。

付:平成11年度トレンチ調査後の反射法探査再解析結果(早来地区)について

平成10年度に実施された早来測線のS波反射法探査結果に基づき、本年度(平成11年度)、トレンチ調査(1箇所)、ボーリング調査(4本)が実施された。

 その結果、新たな知見も得られたため、S波反射法探査の再解析を実施し、解釈についても検討を加えた。以下に、それらの結果について述べる。

〔H10年度実施結果〕

@標高10〜−20m付近(報告書では標高0〜−10m付近と表示)に強い反射面が認められる。

A@の強い反射面は第四系と第三系の境界に対応するものと考えられる。

B強い反射面の上位層、すなはち第四系に相当する重合速度は300〜450m/sで、屈折波の解析でも 同程度の速度値が得られた。

C表層付近の反射面(第四系相当部分)のパターンが測線前半部(南西)と後半部(北東)で異 なるため、地層分布に変化がある。

D速度分布においても測線前半部(南西)と後半(北東)で僅かに異なる。(後半部の速度の方 が大きい)

E強い反射面の傾斜変化から判断して測線上、250m付近に構造的な異常が存在する可能性があり、 その異常は断層の可能性が大である。 

FEで記述した異常が断層とすれば低角逆断層と推定される

G測線350〜440m付近にも断層を示唆するような反射面の乱れが存在する。

〔平成11年度再解析結果〕

前述したように本年度(平成11年度)は、トレンチ調査(1箇所)、ボーリング調査(4本)が実施され、新たな事実が判明したが、反射断面評価をする上で関連性が強い本年度の調査(トレンチ調査、ボーリング調査、踏査)結果は以下に示す項目である。

@)第四系はCDP番号(距離程と大きくは異ならないが厳密に言うと違う)371m付近を境にして層 厚が異なる。

A)平成10年度の反射法探査結果、既存資料等から低角逆断層と考えていたが見かけ上60〜70° の角度を持つ逆断層と判断される。

B)第三系の上面は断層を挟んで西側では標高30m付近、東側では標高15m付近にフラットに分布 する。

これらの事実が明らかになったため、平成11年度反射法探査によって得られた反射波の取得データの再処理、再解析を行った。

その結果を以下に記述する。

@多くの反射面が存在するが、特徴的な反射面は、CDP番号71〜221付近(標高10〜−18m付近)に 南西傾斜の強い反射面が存在する。

Aその強い反射面は第四系と第三系の境界では無く、第三系の中の反射面である。

B第三系の中の反射面が何に相当しているかは、ボーリングデータ等がないため推定するのは難 しいが、礫層等、周囲とインピーダンス(速度*密度)が異なる層が分布していると考えられ る。(そのため、昨年は周囲とインピーダンス(速度*密度)が異なる層、すなはち第四系と 第三系の境界であろうと判断していた。)

C反射探査結果を見ると、断層の位置は標高0m(CDP番号351m付近)で反射波が途切れ、更にそ の上部も反射波の乱れが存在するため、CDP番号371m付近と考えても矛盾しない。

D反射結果からは、CDP番号241〜271にかけても高角度の断層が推定される。

図3−3−19 泉郷地区嶮淵川沿いボーリング・トレンチ箇所の地質解析断面図

図3−3−20 富岡地区フモンケ川沿いボーリング・トレンチ箇所の地質解析断面図

図3−3−21 極浅層反射法地震探査−早来測線2の地質構造解釈

表3−3−3 トレンチ・ボーリング調査にもとづく解析断面図から得られた傾斜変位量