7−2−1 調査の目的

 泉郷断層の通過部には地形面として、上位より段丘1〜5面(t1〜5)および沖積面(現河川氾濫原面、a)が存在しているが、そのうち、t1〜4については、東落ち逆向き低崖が明瞭で、いくつかの活断層露頭・関連露頭が存在し、面形成後の活動の存在が明らかである。よって、1万年前以降(完新世)の活動履歴(特に最新活動とその前の活動)を明確にするために、第1年次の調査で極浅層反射法地震探査(泉郷側線)を実施した、泉郷地区(いずみ学園付近)でピットおよびトレンチの各1箇所の調査を実施した。ピット調査は当初いずみ学園東方において、逆向き低崖の地すべりを示す地震関連露頭c−27地点(En−aとその上位のローム層を明らかに切る正断層が存在)を掘り下げることを検討したが、第2年次の秋季になり、道路をはさんで南側に農地造成により新たな活断層露頭が出現し、En−aの上位の腐植層が切られている逆断層が存在することから、その露頭の拡幅・掘り下げを実施する方が最新活動解明の可能性が高いと判断した。トレンチ調査はいずみ学園東方箇所で、t4面の示す逆向き低崖部から嶮淵川沿いの現河川氾濫原面に移行する部分で最新活動を解明することを目標に実施することとし、事前にボーリング調査を実施した。