7−1−3 活動履歴と変位量

 上述したような事情により、緑が丘における岩見沢断層のピット調査および関連ボーリング調査からは少なくとも5万年前以降の同断層の活動の有無は確認できなかった。予想される変形が垂直変位で1m程度とわずかであることを考慮すると、この結果から直ちに断層活動がなかつたとは言い切れない。よって、さらに今後に検討課題を残していると言えるが、本断層については、段丘4面に変位が生じていることと、日の出でのボーリング調査と14C年代測定により、少なくとも同面の形成年代の7万年前以降、変位が認められない現河川氾濫原物基底の年代5、320±40y.BPの間に最新活動期があるということだけが断定できる。変位量については、形成年代が12.5万年前の段丘3面(t3)の垂直変位が3〜4m(日の出でのボーリング調査ではT3内の砂礫層の変位が3.5m)、同じく段丘4面(t4)の変位が1.5mである。仮にt3の変位を2回分の累積結果、t4の変位を1回分とみなすと、単位変位量は1.5〜2mとなる。5.5(表3)でも説明したように、平均変位速度は0.02〜0.03m/1,000年で活動度はC級下位である。

 栗沢断層については、既存活断層露頭(k−4地点)で4.5万年前の泥炭層が変位していることから、最新活動期はそれ以降である。変位量については、形成年代が20万年前のt2の垂直変位が5.5〜7m、同じく12.5万年前t3の変位が3〜3.5m、上述の泥炭層の変位が3.5mである。泥炭層の変位は岩見沢・栗沢両断層が同時に活動したとしても、断層長計16kmあまりであり、最新1回の変位量としては過大であり、これを仮に2回分の累積変位量とみなすと、単位変位量は1.75mとなる。ここの値を参考にしてt2の累積変位量を4回分、t3のそれを3回分とみなすと、単位変位量は1〜1.83mと算定できる。しかし、これらの算定結果は極めて不確実なものである。平均変位速度はt2で0.028〜0.035m/1,000年、t3で0.024〜0.044m/1,000年、泥炭層で0.078m/1,000年で、いずれにしてもC級である。

 図54 岩見沢市街緑が丘ピット箇所の位置図と測量図

 写真22 岩見沢市街緑が丘ピット箇所北面写真

 図55 岩見沢市街緑が丘ピット箇所北面のスケッチ・解釈図(試料採取位置なども示す)