6−2−5 早来測線2(極浅層反射法;S波)

 測線は早来町富岡のフモンケ川中流の北東−南西方向の町道沿いに設定し、長さが0.5kmで、馬追断層に斜交している。同様に巻末資料4に関連図表を示す。マイグレーション後深度断面は次のように解釈できるが、調査1年次の解釈は調査2年次のボーリング・トレンチ調査の結果から変更を余儀なくされたので、再解釈結果も合わせて示す。なお、本測線は屈曲しているため、水準測量に加え、XY座標測量も実施しており、受振点と発振点の中点を示す共通反射点(CDP)は現地測線上からはずれる所が生じた(巻末資料4)。よって、CDPが分布する地点に仮想ラインを定義して処理を行っているので、反射断面(図42)は仮想ライン直下のものということになる。

[第1年次解釈、図42上]

1標高10〜−20m付近に強い反射面が認められる。

2上記の強い反射面は第四系と新第三系の境界に対応するものと考えられる。

3強い反射面の上位層、すなわち第四系に相当する重合速度は300〜450m/sで、屈折波の解析でも同程度の速度値がえられた。

4表層付近の反射面(第四系相当部分)の測線前半部(西)と後半部(東)で異なるため、地層分布に変化がある。

5速度分布においても測線前半部と後半部でわずかに異なる(後半部の速度の方が大きい)。

6強い反射面の傾斜変化から判断して測線上、250m付近に構造的な異常が存在する可能性があり、その異常は断層(低角逆断層)の可能性が大きい。

7測線350〜440m付近にも断層を示唆する反射面の乱れが存在する。

[第2年次解釈、図42下]

 反射断面評価をする上で関連性が強いボーリング・トレンチ調査結果は以下のとおりである。

  i )第四系はCDP番号371m付近を境に層厚が異なる。

  ii )想定される断層は低角逆断層ではなく、見かけ上60〜70°の角度をもつ逆断層と判断される。

  iii )新第三系の上面は断層を挟み西側では標高30m付近、東側では標高15m付近にフラットに分布する。

 これらにもとづき再処理・再解釈を行った。

1多くの反射面が存在するが、特徴的な反射面はCDP番号71〜221付近の標高10〜−18mに存在する南西傾斜のものである。

2上記の反射面は第四系と第三系の境界ではなく、新第三系中の反射面である。この反射面が何に相当しているかは適当な場所にボーリングデータなどがないため、推定は難しいが、礫層または風化層など、周囲とインピーダンス(速度・密度)が異なる層が分布し、その違いを反映していると考えられる。

3反射探査断面を見ると、断層の位置は標高0m(CDP番号351m付近)で反射波が途切れ、さらにその上位も反射波の乱れが存在するため、CDP番号371m付近と考えても矛盾しない。

4反射結果からはCDP番号241〜271mにかけても高角度の断層が推定される。

 図42 極浅層反射法早来測線2地震探査断面とその地質構造解釈