6−2−3 泉郷測線(極浅層反射法;S波)

 測線は千歳市泉郷の信田温泉北方の台地の東西方向の市道(北側路肩)に設定し、長さは0.5kmで、泉郷断層とほぼ直交している。道路は未舗装でかつ積雪時の測定であったため、震源はプレートは厚板状の雪の中に食い込む歯形プレートを使用した。同様に、巻末資料4に関連図表を示す。マイグレーション後深度断面は次のように解釈できる(図40)。

 測線の200〜300m間では地表下30数m(標高0m付近)に上位の水平層と下位の西傾斜層との明瞭な斜交不整合関係が認められる。上位の水平層は段丘3堆積物(T3)であり、その中〜下部では反射面の重なりが比較的明瞭であるが、上部では不明瞭となっている。この表層の不明瞭部は概ね200m/sの速度値が得られており、これらは支笏・恵庭・樽前火山噴出物、ロームおよび腐植層の集積層に対応するとみなされる。下位の西傾斜層は南側の嶮淵川沿いの河床露頭との比較から砂岩・礫岩を主体とする追分層であることは明白である。200m付近より西側では上位の水平層の基底はやや西傾斜を示し、地表下60m付近(標高−30m付近)に達する。一方、300m付近を中心に45°西傾斜の面を境にその東側では地表下60m付近(標高−30m付近)に上記の不整合面が落ち込んでおり、この面が西上がりの断層であることが明瞭にとらえられる。本断層は追分層内の反射面(層理)にほぼ平行であり、地表付近での位置関係から泉郷断層そのものであると断定できる。泉郷断層より東側では下位の傾斜層の反射パターンはやや屈曲しつつ、全体としては不明瞭となっており、この部分が東側の南長沼断層(主スラスト)と泉郷断層の間の複雑な地質構造帯であること示している。

 図40 極浅層反射法地震探査泉郷測線断面図とその地質構造解釈

 図41 浅層反射法地震探査早来測線1深度断面とその地質構造解釈