5−6−3 馬追・嶮淵断層

 両断層は調査地域南部で平行して存在する。逆向き低崖など断層リニアメントは明瞭であるが、支笏・恵庭・樽前火山噴出物に厚く覆われ、第四系の基盤をなす新第三系の地表での分布も限られている。さらに、石油資源関連での地震探査の公表資料もないため、泉郷断層に比較して断層深部を含めたその実態はあまりよく分からなかった。そのため、まず両断層を横断する方向で浅層反射法(P波)地震探査を富岡北部の町道沿いに計画した。活断層露頭は少ないが二次的変位を示す関連露頭はリニアメント沿いに多く、1万年前頃以前の活動の存在は把握できていたため、フモンケ川沿いの断層通過点で検出した段丘5面(最低位面)の軽微な撓み(写真21)に着目してトレンチ調査を行うことが望ましいとの判断から、その前段調査として付近の町道沿いで極浅層反射法(S波)地震探査を実施し、その撓みを横断する方向で群列ボーリングを計画した。

 写真20 嶮淵川沿いボーリング・トレンチ予定箇所を北東から望む
 手前中央の林地が泉郷断層逆向き低崖でボーリング・トレンチ箇所、人家とハウスが載る面は段丘4面。

 写真21 フモンケ川沿い低地の馬追断層通過箇所の段丘5面の撓曲地形(スケールは3m)