5−2−4 早来町富岡(馬追断層・嶮淵断層)

 馬追断層リニアメント(UF)の南部およびその西側の嶮淵断層リニアメント(KF)をほぼ西南西−東北東に横断するように、以下の5断面図を作成し、地形解析を行った(図23)。解析の元になった地形図は早来町1/2、500の都市計画図である。
なお、断面線に近い場所の逆向き低崖など7箇所を選び簡易測量を実施した。その結果は図2425に示す。

 富岡1断面(簡易測量U1・U2測線):千歳市との境界に近く、町道に沿う長さ3.1kmの断面である。断面中〜西部は段丘2・3面(t2・t3)の分布域であり、t2のUF部で東落ち5m弱の逆向き低崖が、KF部で同じく3m±のそれが読み取れる。UF部について、断面線の南側隣接部で実施した簡易測量(U1測線)によれば、20mの東落ち変位が確認できる。UFとKF間でt2は20/1,000程度で西へ傾動する。KFの西側でt3がより顕著に西へ傾動することは写真9に明瞭である。

 富岡2断面:1断面の南700mでそれに平行する断面で、長さは4kmである。断面中〜西部は1断面と同様にt2・t3の分布域であり、t2のUF部で東落ち20m程度の逆向き低崖(KF東側はフモンケ川により浸食を受けている、川谷東側のt2面の高さを考慮)が、KF部で同じく3m±のそれが読み取れる。UF部とKF部間およびKF部の西側は1断面と同様に西へ傾動する。

 富岡3断面(簡易測量K1・K2・K3測線):2断面の南1.3kmでそれに平行する断面で、長さは3.8kmである。断面中〜西部は段丘2〜4面の分布域であり、そのうち広く分布するt2のUF部で東落ち15〜20mの逆向き低崖(2断面と同様な事情を考慮)が、KF部で同じく3m±のそれが読み取れる。KF部について、断面線の北500m付近で実施した簡易測量(K2測線)によれば、5mの東落ち変位が確認できる。UF部とKF部の間は28/1,000で西へ傾動する。KF部の直ぐ西側では活褶曲(背斜)が認められt3面がKFに沿う方向に軸を取り膨らんでいる。

 富岡4断面(簡易測量U3測線):早来工業団地付近からオークウッドゴルフ場にかけての北東−南西方向の長さ2.5kmの断面である。主として段丘2・3面(t2・t3)が分布し、t2分布域でUF部が存在し、そこでは東落ち10m±の逆向き低崖が読み取れる。断面線の直ぐ北西側で実施した簡易測量(U3測線)によれば、9mの東落ち変位が確認できる。UF部の西側ではt2に西への傾動および活褶曲状の波状のうねりが認められる。

 富岡5断面(簡易測量U4測線):3断面の南東500m±でそれにほぼ平行する長さ2.6kmの断面である。主として段丘2・3面(t2・t3)が分布し、t2分布域でUF部が存在し、そこでは一応東落ち20m程度の逆向き低崖が読み取れるが、そこでは安平川支流によりt2が侵食を受けており、実際にはそれより少ないと予想される。UF部西側のt2の変位状況は4断面とほぼ同様である。なお、本断面線の南東1.3kmの鶴の湯温泉付近ではt4のUF部について簡易測量(U4)を実施し、3mの東落ち変位を確認した。

 写真9 嶮淵断層西側の段丘2面の傾動
 早来町富岡北部の町道、西方の段丘1面上から眺める。

 写真10 JR石勝線南側の馬追断層逆向き低崖(北から眺める、露頭はh−6地点)

 図23 富岡地域の地形断面図(富岡1〜5)

 図24 馬追断層リニアメント部の簡易測量結果(U1〜4測線)

 図25 嶮淵断層リニアメント部ほかの簡易測量結果(K1〜3測線)