5−2−2 栗沢(栗沢断層)

 リニアメント(栗沢断層)を横断するほぼ東西に横断するように以下の6断面図を作成し、地形および地表下40m付近までの地下地質・構造の解析を行った(図1920)。ただし、地形解析は栗沢町の2、500分の1都市計画図を使用し、地盤ボーリング資料は岩見沢市街の場合と同様に取り扱った。

 栗沢1断面:栗沢丘陵北端部の栗沢工業団地とその東側地域を切る長さ1.9kmの断面である。断面のほぼ中間点に栗沢断層相当部の東落ちの逆向き低崖(落差3m)が存在し、その地点の北側250m所に活断層露頭(k−1地点)が存在する。同断層の両側ではともに段丘3面(t3)の西傾動が存在し、段丘3堆積物(T3)のうちT3sとTCの境界面に着目すると、ほぼ同様に西への傾動が認められる。

 栗沢2断面:栗沢工業団地南側を切る長さ1.9kmの断面である。中間点に同様な逆向き低崖(落差5m)が存在し、その地点の北側300mの所に活断層露頭(k−4地点)が存在する。C−H4−2孔とその東側のKR−H7−1孔の間にはT3の泥層(T3m)・砂層(T3s)の境界面に10数mの東落ち変位が明瞭であり、栗沢断層の存在を証拠付けている。同断層の両側ではともにt3面・T3の西への傾動が明瞭であるが、同断層の西側k−6地点にはTC中の泥炭層(31、200±370y.B.P.の14C年代を測定;巻末資料7)が7°±の傾斜で西に傾く露頭が存在している(写真7)。なお、本断面付近の地表露頭ではTC中にSpfa1テフラの軽石を含む礫層またはそれを散点的に含む泥層がはさまれる。

 栗沢3断面:由良川にほぼ平行にその北400m付近を切る長さ2.1kmの、地盤ボーリング資料を欠いた地形プロファイルを主体とした断面である。中間点に同様な逆向き低崖(落差4m)が存在し、その南側の由良川沿いの露頭(k−9地点)では栗沢断層の西側には清真布層が分布するのが確認できる。

 栗沢4断面:栗沢市街中心部から東北東方向に1.9km続く断面で、活断層リニアメントにはや斜交差している。中間点に同様な逆向き低崖(落差7m)が存在し、栗沢断層の両側ではt3面の西傾動が明瞭で、地表調査からは少なくともTCの西への傾動も認められる。

 栗沢5断面:栗沢市街南部の国道西側から道立福祉村までの長さ1.5kmの断面である。中間点に同様な逆向き低崖(落差5.5m)が存在するが、ここでの変位の基準面は段丘2面(t2)である。栗沢断層東側の道立福祉村には地盤ボーリング資料がいくつか存在しているが、それらの解析結果と近傍(断層西側)の地表調査結果を比較すると段丘2堆積物(T2)に5〜10m程度の東落ち変位が明らかとなる。

 栗沢6断面:加茂川に沿って北海幹線用水路付近から南東方向に1.5km続く断面で、主に地形プロファイルを主体とした断面である(リニアメントに斜交)。東寄りの所に同様な逆向き低崖(落差6m)が存在するが、ここでの変位の基準面はt2である。南側近傍に活断層露頭(k−20地点)が存在する。栗沢断層西側でのt2面の西傾動は顕著である。

 写真6 西に傾く段丘3堆積物TC(k−6・k−17地点)

 図17 岩見沢市街地の地形・地質断面図その1(岩見沢1〜4)

 図18 岩見沢市街の地形・地質断面図その2(岩見沢5〜7)

 図19 栗沢地域の地形・地質断面図その1(栗沢1〜4)

 図20 栗沢地域の地形・地質断面図その2(栗沢5・6)