4−3 滝の上層(Ta)

 本地域の東方に位置する夕張炭田地域でその分布が知られ、滝ノ上から紅葉山にかけての夕張川沿岸が模式地である。栗田ほか(1997)および粟田・横井(2000)によれば、浮遊性有孔虫、珪藻、渦鞭毛藻、花粉などの微化石の解析および放射年代測定により、その年代は前期中新世後期〜中期中新世前期(ほぼ20〜15Ma)と推定され、全体として火山性堆積物卓越層準を境に上下に二分できる。馬追丘陵の地表の滝の上層は、凝灰質礫岩に始まり、上位へ向かって一部溶岩を含む火山性の粗粒堆積物、次いで海緑石質シルト岩を経て泥岩相に移化する。下部にはさまれる安山岩〜玄武岩質火山砕屑岩・溶岩からは19.3±1.0MaなどのK−Ar年代が得られている(渡辺ほか、1993)。さらに、上部の泥岩相から、Denticulopsis praelauta帯(中部中新統最下部;Akiba、1986)を示す珪藻化石群集が産出する。

 「恵庭」図幅の馬追山層に長沼層の一部を付加したものにほぼ一致し、「追分」図幅の滝の上層に馬追山層の集塊岩・千歳夾炭層および由仁層の集塊岩・シルト岩の一部・硬質頁岩の一部を合わせたものにほぼ一致する。主に、嶮淵川東岸側に向斜構造を取って分布し、その他、馬追丘陵北ブロック馬追山背斜南部両翼に帯状に分布する。本調査および゛関連調査(岡、1998)では、R−1ルート(南長沼の幌内神社北、当初は南長沼層とした)、泉郷のグレート札幌ゴルフ場周辺露頭(C−6、−7、−8、−9など)、嶮淵川東岸側露頭で観察した(巻末資料1)。嶮淵川東岸側では層厚は300m程度で、基底部は火山性礫岩・溶岩層よりなり、土石流状の淘汰の悪い火山性礫岩および安山岩質溶岩(板状節理)・火山角礫岩よりなる。主部は凝灰質泥岩・砂岩、両者の互層、軽石質凝灰岩・凝灰角礫岩などより構成され、帯緑化し変質が進んでいる。