1−1 活断層の定義および活動性

 一般に活断層とは「きわめて近い地質時代(第四紀:およそ170万年前から現在まで)に繰り返し活動し、将来も活動する可能性のある断層」とされている。函館平野西縁断層帯には、第四紀前期の地層に変形を与えているものの変位地形が不明瞭であり、かつ10万年前以降の地層や地形面に変形を与えていないとみられる断層が存在する。従って、この活断層図では後期更新世以降(約10万年前以降)に活動したことが明らかな断層を活断層と呼ぶことにする。前〜中期更新世の地層に変形を与え、後期以降の活動が明らかでない断層は「その他の第四紀断層」として取り扱うことにする。また、第四紀の活動の認められないものを地質断層として区別して表現する。

 活断層の過去の活動程度は活動度と呼ばれている。活動度は基準になる地形面や地層のずれの大きさ(変位量)を、地形面や地層のできた年代から現在までの時間で除した平均変位速度(単位:m/1,000年やmm/年)で表される。松田(1975)は、平均変位速度(S)の単位をm/1,000、年として、10>S≧1の場合を活動度A級、1>S≧0.1の場合をB級、0.1>S≧0.01の場合をC級と呼んで、その断層の活動度を表現している。平均変位速度は、断層の活動間隔すなわちこの断層による地震の発生間隔を推定する上で重要な値である。

 なお、第四紀後期の地層の年代は放射性炭素(14C)年代測定法で決定されることが多い。活断層図およびこの解説書に表記されている「y.BP」は、14C年代測定法で基準とされる西暦1950年を基準としてそれより何年前かを示したものである。また、「ka」は千年前の意味である。