(2)まとめ

以上各孔の調査結果を基に地質断面図を作成したが(図3−3−33),本地区のボーリング結果を要約し考察を行うと,以下のようになる.

@)地質は下位から新第三系および更新統からなり,沖積相当層は分布しないと判断される.新第三系は中新統の追分層の泥岩および鮮新統の清真布層(峰延層)からなり,新第三系を不整合で被覆する更新統は,洞爺火山灰(Toya)あるいは支笏降下軽石(Spfa−1)と推定されるテフラを挟在することから,その時代は10数万年前頃以降で,ほぼ後期更新世とみなされる.

A)地質構造は,中新統の追分層は50゚程度で西側に,その上位に分布する鮮新統の清真布層(峰延層)は15゚程度の緩い角度で東側に傾斜していると判断され,両者の間に断層の存在が示唆される.新第三系を被覆する更新統は,ほぼ水平に堆積している.

B)図3−3−33に示すように,本調査地区の地質断面を見ると,リニアメント延長部は,M−2孔付近に位置するが,M−1孔〜M−4孔の新第三系上限面はほぼ水平で,大きな高度差(変位)は想定されない.また,調査地の深度5m付近に分布する洞爺火山灰と推定されるテフラにも高度差は認められず,断層存在を示す結果は得られていない.この結果は,日の出地区の結果と異なることから,更新統基底に変位を与えている断層は,どの付近に存在するか(想定可能か)ということが大きな問題となる.