(3)地形地質調査結果の総括

各地域毎の要点はそれぞれのまとめの中で述べられているので詳細は省く.

北部地域では特に栗沢断層に関連してはいくつかの断層露頭が観察でき,その性状がかなり詳しく解明できた.岩見沢断層については市街地ということで,土地の改変が進み地表踏査ではその実体はあまり解明できなかった.そのここと,人口の集中地であることを考慮すると,今後,浅層反射法地震探査およびボーリング調査などでその性状をよく確かめ,必要があれば次年度にトレンチ調査を実施すべきと判断した.具体的には浅層反射法地震探査は岩見沢断層逆向き低崖(リニアメント)を横断する方向で,比較的新しい地形面の変位に着目し,さらに交通事情などを考慮して,緑ケ丘地区の市道沿いなどで実施すべきである.ボーリング調査は逆向き低崖列を比較的大きな沢が横切り最新の堆積物(沖積層)が存在する日の出地区で群列状に実施すべきであり,次に地震探査との関連で緑ケ丘地区などで同様な方法で実施ですべきである.

中部地域では特に,泉郷断層についてはコムカラ峠などの好露頭が存在し,少なくとも1万年前頃以前についての活動状況は解明できた.今後はそれ以降の最新活動の有無と時期を解明する必要がある.そのため,大きな川が断層を横切る泉郷信田温泉付近でトレンチまたはピット調査を計画すべきである.その前段調査としてこの付近で極浅層反射法地震探査を実施すべきであるとの結論を得た.

南部地域では,特に馬追断層aについて,自衛隊駐屯地内での立ち入り調査が可能となり,性状の解明がある程度進んだ.しかし,中部地域のコムカラ峠のような好露頭はなく,地表部を厚い火山灰層が覆っているため,断層の詳しい性状解明はできていないことから,浅層・極浅層反射法地震探査などを実施し,さらにトレンチ調査およびボーリング調査などを検討すべきであるとの判断になった.なお,馬追断層aは泉郷断層とは地質構造的な位置がほぼ一致しており,性状や活動性に類似性が多いことから,一連の活動を行った可能性が高いことを付言する.

各地域毎に区切って説明し,全体的な統一性は必ずしも取れてはいない.断層帯全体が60kmの長さに達することから,その解決にはある程度の時間を要すると思われる.関係者間でさらに議論を深め,最終報告では全体の統一的な総括をきちんと行いたい.