4−3−2 踏査地域の地質概要

踏査地域の地質については、高橋(1991)(4) に詳しく記載されている。それによれば、本地域には基盤岩として吉和層群と呼ばれる古生代の泥岩・砂岩を主とする地層、及び己斐断層の分布域と同様に広島花崗岩類と総称される中粒角閃石黒雲母花崗岩と中−粗粒黒雲母花崗岩が分布している。このうち吉和層群と広島花崗岩類の中−粗粒黒雲母花崗岩の分布は、佐伯区五日市町と安佐南区沼田町を境とする向山(標高669m)の山頂付近に限られており、踏査範囲の大部分は中粒角閃石黒雲母花崗岩が占める。

中粒角閃石黒雲母花崗岩は、主に石英、斜長石、カリ長石、黒雲母、角閃石からなり、色指数5〜7程度である。中粒均質、等粒状で、主成分鉱物の粒径は2〜3mmだが一部5mm前後に達することもある。本岩の形成年代については、佐伯区八幡川魚切ダム付近の試料より、黒雲母K−Ar年代として82.9±2.8Maが得られている。

これら基盤岩を覆う堆積物としては、第四紀の土石流堆積物、崖錐及び崩積性堆積物並びに現河床堆積物等がある。これらは主に山地緩斜面や谷の出口、主要河川沿いに分布し、花崗岩類を主とする礫(亜角〜亜円礫)、砂、シルトから構成されている。