3−4−3 断層変位層準と活動年代

No.2トレンチでは、岩盤直上に分布する第[砂礫層の断層の東側(下流側)が相対的に50cm垂直的に変位(低下)し、断層面には粘土が付着している。軟質物を岩盤面側に垂直に残すような、断層面を境にした差別浸食が働き、このような境界が生じたとは考え難く、これは、第[砂礫層堆積後、第Z砂礫層堆積前(両者の関係は不整合の可能性が考えられる)に断層が活動した根拠とみることができる。しかし、両層ともに年代値が得られていないことから、本断層のトレンチ地点での最新活動時期はこれらよりも上位の地層、第Y層で求められたAD880−1005年〜AD1035−1205年以前であるといえる。一方、No.1トレンチでは第W層最下部の有機質土が断層東側で消滅し、断層粘土内にはどの層のものかは断定できないものの直径7cmの円礫が巻き込まれているのが観察できる。こうした事象から第W層堆積後に断層が活動したと考えられる。この場合、断層の活動年代は第W層のAD790−970年〜AD1275−1385年以後となる。

両トレンチの層序関係の不確かさと、14C年代値の幅を考慮すると、己斐断層の最新活動時期はAD790−970年〜AD1275−1385年以降、AD880−1005年〜AD1035−1205年以前の間にあり、おおよそ千数百年前と推定される。また、それ以前の断層活動時期に関する証拠は求めることができなかった。