6−5 起震断層としての評価

以上の結果をまとめると次のようになる.

@渡島大野断層

断層の型:西側上がりの逆断層(地質・トレンチデータ・物理探査)

地表付近では全体として撓曲変位として現れる.横ずれ変位はみられない.向野トレンチで認められた小断層の走向と傾斜はN54°E 31°NWである.また,反射法地震探査によって把握した深度500m程度までの断層の傾斜はおよそ40°で西に傾く.より深部での構造を示すデータは得られていない.

長さ:12km (地形)

富川断層との活動の同時性を検討するデータ及びセグメントを区分するデータは得られていない.

走向:北北西−南南東ないし北北東−南南西(地形・トレンチデータ)

平均変位速度:垂直方向で,0.2m/1,000年程度である(地形・トレンチデータ).

浅部における実変位は0.3m/1,000年程度である.活動度はB級下位.

1回の変位量:垂直方向で1m〜1.5mである(トレンチデータ).

浅部における実変位は1.5〜2.3mである.

最新活動期:8,800年前から7,800年前の間(トレンチデータ)

活動間隔:,7,000年〜9,000年程度(トレンチデータ)

1回の地震活動の規模:M=6.6〜7.2である(地形・トレンチデータ).

A富川断層

断層の型:西側上がりの逆断層あるいは撓曲帯(地形・地質・物理探査)

地表付近では撓曲変形として現れる.横ずれ変位はみられない.セグメント境界部の浅層反射法地震探査では深度500m程度までは断層が認められない.

長さ:4.5km(陸上部),海域を含めると15km程度の可能性がある(地形ほか).

渡島大野断層との活動の同時性を検討するデータ及びセグメントを区分するデータは得られていない.

走向:北北西−南南東ないし北北東−南南西(地形)

平均変位速度:垂直方向で,0.2〜0.3m/1,000年程度である(地形).活動度はB級下位.

最新活動期:約9万年前以降,詳細は不明である(地形・地質).

活動間隔・1回の変位量:不明である.

1回の地震活動の規模:M=6.8〜7.1である(地形).