6−2−1 地形からみた断層の平均変位速度

今回の調査によって,新たに段丘の離水年代に関するデータが得られた結果,見かけの垂直変位速度の値は従来の報告よりも小さな値となった.従来の調査との大きな変更点は次のとおりである(表6−1表6−2).従来,離水年代が5〜6万年以前と推定されていた複数の地形面(大工川−桜岱の3面,4面)の堆積物中にToyaテフラ(90〜120ka)を認めた.また,扇状地面とされた部分に,濁川テフラ(12ka)におおわれる段丘面(市渡の6面)を確認した.基準面の変位量は従来の研究と同じとして計算すると,渡島大野断層の変位速度の値はやや小さく>0.1〜0.3m/kyrとなった.また,富川断層は基準面がやや不明瞭であるが,>0.2〜0.3/kyrとなった.従って,両断層とも活動度はB級の下位となる.