3−1−2 断層変位地形

本地域の変位地形は明瞭である.大野川右岸では4面,4'面,5面に明瞭な変位地形(撓曲崖)が認められる.4'面では,対応する面が不明瞭であるが垂直変位量はおよそ15m,5面では9m(貞方・小石,1996)である.

大野川左岸では6面に撓曲によると見られる低崖(比高1〜3m)が発達する.この低崖は,NNE−SSW方向に,川濯神社階段から北方へ続き,円通寺の裏をとおって道道上磯峠下線バイパス南側付近まで連続する.

道道上磯峠下線バイパス南側付近から北方には扇状地が広く分布しており,変位地形は不明瞭となる.これらの扇状地はややNNE方向に延びたような形をしており,調査地域の最も北側の扇状地には不明瞭な撓みが認められる.一方,この付近から西側の山地の縁にはNNW−SSE方向に三角末端面が連続している.したがって,断層はバイパスの南側からNNWに方向を変え山側に通過している可能性と,NNE方向に直線的に連続し,扇状地下に存在する可能性とが考えられる.空中写真判読によれば調査地域の北方の低い段丘面にも,やや不明瞭な低崖が認められることから,最近の活動による断層は平野側,即ち扇状地下に延びている可能性が大きい.

川濯神社南側にあたる,大野川ぞいの低地の北側には不明瞭な傾斜変換線が2〜3列,認められるが,南へは連続しない.