3−1−1 地形区分

本地域の地形は,大局的に,大野川ぞいから函館平野に広がる低地面,大野川の右岸および左岸に広がる低位〜中位の河岸段丘面,これを覆って発達する小規模な扇状地(沖積錐),および背後の山地・斜面ほかに区分される(図3−2).

低地面は,大野川に沿う氾濫原ないし旧河道からなるA1面と,これよりやや高い,大野川の自然堤防ないしは開析扇状地の一部とみられるA2面が区別される.両者の間は,ごく低い崖で境される.A1面は河道の切った切られたの関係から,さらに5つ程度の面に細分が可能であり,現大野川河道側の面,北側の国道227号線側の面,これらに挟まれる形で上流側に広がる面の順に相対的に高くなっている.人工改変が著しく,国道227号沿いや大野川沿いの最も新しい面の大半は,盛土地となっている.

大野川左岸の山地の前面には,低位の河岸段丘をおおって4〜5つの小規模な扇状地(沖積錐)が連続的に発達する.

河岸段丘は4つの面に区分される.これらは,低位の面からそれぞれ,平成8年度調査成果報告書の6面,5面,4'面,および4面に相当する.6面は標高50m〜30m(河川からの比高,5m程度)の面で,太田ほか(1994)の「扇状地面」に相当する.6面は分布地域の南側でやや高く,2つの地形面が複合している可能性もある.活断層研究会(1991)・ 太田ほか(1994)は,5面,4面の離水年代をそれぞれ,20〜30ka,50〜60kaとしたが,後述のトレンチ調査等の結果により,6面の離水年代は13kaであり,この地域で5面と呼んでいる面はおよそ40ka(従って4面はそれ以前)であることが明らかとなった.