(2)各測線における特徴

本断層系にほぼ直交する測線は6本(測線A〜F)ある.それらのブーゲ異常の東西断面を図2−4に示す.図中矢印は地形・地質調査から推定された断層群である.各測線の測線長は数百m〜数kmになるので,ここでは断層周辺の4km以内の範囲を示すことにする.ただし測線Aは他の測線に比べてかなり短い(700m)ので測線全体を示す. 図中,各測線におけるブーゲ異常断面には多項式を用いて計算した広域トレンドを実線で示してある.また,測線CとFは後述する浅層反射法地震探査の測線にほぼ一致する.1A−1,1A−2,1A−3,1A−4

 各測線におけるブーゲ異常をみると,全体的にブーゲ異常はなめらかに分布してはいないものの,注意深くみると断層の近傍でブーゲ異常値が相対的にHighやLowになっている.測線Aでは1A−3断層の西側でわずかにLowになっている.測線Bでも1A−3断層の西側で測線Aと同様わずかであるがLowになっている.さらに西側の1E,1B,1C,1D断層においても,ブーゲ異常に変化がみられる.測線Cでは1A−3断層の東側でHighになっているが,1D断層の西側でもややHighになっている.測線Dはリニアメントがみられていない1D断層の西側でHighになっている.測線Eでは1A−4断層では断層からやや西へ離れたところでHighになっているが,2A−1断層ではすぐ西側でLowになっている.測線Fでは2C−1断層付近がHighになっている.

 このようにそれぞれの測線ではブーゲ異常が断層付近で複雑になっているため,地下浅所における断層構造は複雑であり単純なモデルでは説明できないかもしれない.