(1)調査域の特徴

前項で示した各補正をした後に得られたブーゲ異常分布を図2−3に示す.調査域の東から西へブーゲ異常が次第に低くなっていくのがわかる.したがって,七飯町から大野町へ向かって基盤岩の落ち込みが推定される.本断層系周辺ではブーゲ異常がやや複雑になり,さらに西側ではブーゲ異常は再びやや高くなる傾向が見える.地質調査の結果からも本断層系の西方の山地は基盤岩が露出しているので,ブーゲ異常は高くなると予想される.したがって,函館平野の重力基盤構造は第1近似として本断層系周辺を中心とする盆状構造が推定される.

 活断層の分布に着目すると,通常ブーゲ異常は隆起側の方が高い値となることが期待されるが,本地域では西側の基盤岩の影響が大きすぎるため,必ずしもそうはなっていない.広域成分を差し引けばその影響が現れると思われる.

 ブーゲ異常のパターンでは,断層付近でコンターが湾曲しているところがみられる. これは,断層が垂直方向の変位だけでなく水平方向にも変位していることを示すのか,または断層が傾斜しているために見かけ上横ずれしているように見えるためであろう.