4−1−1 調査ボーリング

調査ボーリングは、高密度ボーリング調査を行った矢場A地区で11孔、トレンチ調査の補足調査として、矢場B地区で7孔実施した。矢場A地区では、平成8年度調査結果及び平成9年度第1回委員会の審議結果を受け、同一時間指標面の変形している部分の前面部を主体とした、高密度ボーリングによる調査を行った。矢場B地区では、平成8年度調査は、概査であり、断層位置を推定するためのデータ蓄積が不十分であるため、補足ボーリング調査を行い、トレンチ掘削位置を決定した。その後、トレンチ結果を補佐するボーリング調査を行った。

矢場A地区のボーリング結果をふまえた断面図を図4−1−1に示す。この図は10mよりも浅い部分について示しており、下位から順に大きくT層〜Y層の6層に区分される。以下、各層毎に説明する

T層は7m以深で、細粒層を主体とする。U層は細粒層を主体とするが、所々、小谷状に、粗粒層が認められる。V層はAT、BPテフラ層を含む細粒層主体で、北側で、深度がやや浅くなる傾向が認められる。また、上位の層に削られている。W層は、断層によってできた地層の凹地部分の堆積物と考えられ、細粒層を主体とし、As−Okテフラを含む。X層は、粗粒分を主体とし、調査地北側に認められる。下位のV、W層を削り込んでいる。Y層は現在の耕作土である。

ATテフラ層は数cmの厚さを持ち、多少の変化がみられるものの、全体的には、ほぼ一定の深度で確認される。しかし、調査地区北側ではいったんその深度が浅くなり、また再び深くなるといったたわみが認められた。たわみ部におけるATテフラ層の比高差は、1.38m程度となる。

上位のAs−BPテフラ層は、調査地点によってかなり層厚が変化し、調査地点北側では層厚が減少する。

As−BPテフラ層よりも平均約20cm程度上位に位置するAs−Ok(浅間大窪沢)テフラ層は、数cmの厚さで、Bk−4ボーリングまで、ほぼ水平に堆積しているが、それよりも北側には認められない。

基盤の新第三紀層の出現深度は、調査地区南側で深度35mとかなり深い。しかし、調査地北側部分では約15m程度と浅くなる。しかし、それよりも北側では、やや深くなるといった傾向を示す。

矢場B地区

矢場B地区のボーリング調査及びトレンチ調査をふまえて、断面図を示す(図4−1−2)。この図は10mよりも浅い部分について示しており、下位から順に大きくT層〜Z層の7層に区分される。以下、各層毎に説明する

T層は、新第三紀層の基盤岩で、凝灰岩〜シルト岩を主体とする。8〜9m以深に認められ、ほぼ水平に堆積する。U層は、細粒層に粗粒層が削り込むような形を示す。調査地中央から北側に粗粒層は厚さが増加する。V層は、細粒層を主体とし、北側ではやや深く堆積する。W層は、粗粒層(砂礫)を主体とし、北側のみに分布する。また、下位のV層を削り込んでいる。X層は、ATテフラ層起源のガラス及びBPテフラ層が含まれる。この層も北側では、南側に比べて、深度がやや深く分布する。また、北側では一部崩壊しており、堆積構造が乱れている。Y層は、細粒層を主体とし、北側部分及び南側に分布する。南側では、表層部分にあたる。北側部分では、埋土の下にあたり、As−A〜Cテフラが含まれる。Z層は埋土もしくは盛り土部分である。

矢場B地区のボーリング結果より、9YB−5ボーリングより南側では、トレンチ掘削部分に当たる北側部分に比べ、ややAs−BPテフラ層の認められる深度が浅い。しかし、基盤深度はほぼ一定で、断層の関連があるような変化は認められない。また、全体的に地層の深度が大きく変化しているところは認められない。ボーリングの数量及び結果は以下のようにまとめられる。

表4−1−2 ボーリング数量及び結果一覧