(4)解析結果及び考察

@Sk−1測線(矢場A地区、)

図3−4−2にマイグレーション処理後の深度断面図をベースに地質踏査結果とボーリング資料等を参考にして作成した地質構造解釈図を示す。

これによると、測線のほぼ全体において地表から標高100m付近までは、比較的連続性の強い明瞭で水平な反射面の繰り返しが見られる。この層は第四紀層に相当すると考えられ、その層厚は100m以下である。また、その下部に分布している層とは明らかに反射パターンが異なっており、不整合面を現わしている。第四紀層の層厚は、No.0〜260(CDP番号、以下省略する)間がおよそ40m,No.260〜480間が70m〜80mを示しており、No.260付近で層厚が急変している。また、No.番号480〜560間は層厚がNo.560に向かって徐々に層厚が薄くなっている。No.560〜660間は地表付近から不連続な反射パターンとなっており、第四紀層の層厚は薄く、測線西側の隣接丘陵の新第三紀層が表層付近に現れていることを示している。No.660〜900間は40m〜50m、No.900〜980間は約20mと薄くなっており、No.560〜600間と同様に新第三紀層が浅部に分布している。No.980付近からまた50m〜60mの層厚となり、No.1020付近より終端に向かって徐々に薄くなっている。次に第四紀層内の反射面の形状について見ると、No.120,No.260,No.450付近に不連続面が認められる。また、No.110〜260間はやや連続性と明瞭性に乏しい。No.300〜560間は非常に強いほぼ水平な反斜面の繰り返しが認められる。No.680以降では強い反斜面を示すが、No.750,No.840,No.880,No.1000,No.1040付近の5箇所に不連続面が認めれる。これらの不連続面は断層によるものと考えられる。特にNo.260付近では、反斜面の屈曲と最大20m程度のずれが認められる。

新第三紀層内の反射面の形状は、No.0〜260間において、互層をなす層理面からの反射と思われる40°〜45°の北傾斜反射面が明瞭に認められる。地質踏査において、測線東側の丘陵地の露頭に上述の新第三紀層の傾斜互層を確認している。一方、No.380以降ではこのような反射面は不明瞭となっている。これは地質踏査によれば、基本的には塊状で一様な岩相を示すシルト岩〜細粒砂岩が主体となっているためと考えられるが、その他に、測線終端側ほど層理面の傾斜が急勾配となっており、反射面の検出が難しい地質構造であることも要因としてあげられる。

測線の終端付近に不明瞭ではあるが標高100m付近からの北傾斜反射面は、測線終端の南方で中〜古生層の三波川帯の緑色片岩が確認されており、新第三紀層の下位に分布する三波川帯の上面の可能性が考えられる。しかしながら、反斜面は弱く、深部までの追跡は困難である。

神川断層及び平井断層との関連性を見ると、No.260付近の推定断層は測線の東側に隣接する庚申山丘陵南縁の神川断層の延長に位置している。No.120の推定断層は神川断層の北側に平行する断層の延長状に位置している。また、No.750,No.840,No.880,No.1000,No.1040付近の推定断層は、平井断層に関連するものと考えられる。