(3)保美地区

一番東方の断層は、保美集落〜三名川にかけて追跡され、延長約1.1kmである。県道前橋−長瀞線付近ではリニアメントは存在するものの、明瞭でなく、低位断層崖であるのか段丘崖であるのか決定することはできない。

その西側100m程度の水田にははっきりと凹地状の地形が刻まれている。この面は段丘のU面に当たるため、本来ならば同じ高さであったと推定される。断層崖の高さは、約70cmでその凹地をはさんで西側が水田、東側が果樹栽培に利用されている。保美集落中では土地の改変も進んでいるおり、変位地形は確認できない。線状の地形はそのまま直線的に保美湖東方の山地に延びる。丘陵には明瞭な鞍部を形成している。特に山地の北西側斜面では、長さ250m、幅25mの直線状の地形が存在する。高さも15m程度あり、山地としての規模からも、地表水によって侵食されたとは考えにくい。よって断層によって形成された可能性が高いと思われる。

この山地より北西側は、やや地形に崖の形成されている部分もあるが、不明瞭であり、地形に断層の特徴を見いだすことができない。

三名川左岸の三本木地区は上記の断層の延長上に当たるが、地表に断層変異に起因すると思われる地形は観察されない。

鮎川湖北岸〜金井にかけて北西−南東方向に直線的な崖及び地形がみられる。鮎川湖北岸の山中には傾斜の変曲点がみられる。また、その延長上の鮎川右岸には高さ20m程度の直線的な崖が存在する。しかし、鮎川湖と鮎川の間に位置する岡ノ原の段丘面(V〜U面)には線状地形は存在しない。

鮎川湖西方高山〜岡ノ原にかけて西北西−東南東方向に直線的な崖が存在する。延長は約1.2kmである。御荷鉾ゴルフ場北側の養鶏場南側には、高さ15m程度の崖が存在する。これは三名川の流下方向と調和的であるため、断層によって形成されたものかそうでないのか、断言することが困難である。鮎川湖南西側には道路に沿って直線的な崖が連続する。しかし擁壁によって保護されているため、直接地質を観察することはできない。一方、その延長の鮎川湖と三名川で位置、方向が一致する谷(凹地)地形が見られる。ここでは鮎川湖側と三名川の間で尾根が存在せず、不自然な地形である。しかし、現在はゴルフ場建設に伴って不明確になっている。