(1)14C年代測定結果

トレンチ調査ではT1トレンチで3試料(図3−1−4−2),T2トレンチで4試料(図3−1−4−4)の試料を採取し,14C年代測定を実施した。表3−1−5−114C年代測定結果を示す。

14C年代測定を実施した7試料のうち,T1C2試料を除く6試料については観察結果に基づく層序関係と若干の誤差を考慮した年代値との関係が整合した。T1C2試料の測定値は火山灰層の年代とかけ離れるため不採用とした。T2C1試料とT2C4試料は地層の上下関係と14C年代測定値が逆転するが,14C年代測定値は測定誤差範囲内であると判断し採用した。

T1C2試料はAT火山灰層中に挟在する炭化した植物片(根)である。炭化した植物片がAT火山灰層中に濃集することと,AT火山灰層を整合で覆う砂層中に同様の植物片が含まれないことから,炭化した植物片(根)がAT火山灰層降下時のものであることは明らかである。AT火山灰の噴出年代は約2.2〜2.5万年前(町田・新井[1992]火山灰アトラス,東京大学出版会)とされており,190±60yBPの測定値が得られた14C年代測定値とは一致しない。

今回の調査では補正14C年代値を用いた。

表3−1−5−1 トレンチ調査の14C年代測定結果一覧表(*1)

(*1)今回の調査では補正14C年代値を用いた。

(*2)T1C2の試料はAT火山灰層に挟在する炭化した植物根であるが,AT火山灰の年代とはかけ離れるため不採用とした。