(2)地質

図3−1−2−2に地質平面図を示す。

・花崗岩

花崗岩は,中津川市こども科学館の南西側を流れる後田川河床から善光寺にいたる急傾斜な山腹斜面及び山頂部に露出する.

・M2面構成層

チャートなど古生層起源の堆積岩類からなる砂礫層からなり,M2面の北端部に位置する津島神社へ上る石段の脇や,JR中央線の切り割に露出する.礫は円〜亜円礫で,礫径は5cm以下が大部分を占め,淘汰は良い.マトリクスは,シルト分に富む砂からなり,固結は良い.砂層の挟みも多い(写真3−1−2−1).

写真3−1−2−1 M2面構成層

・木曽川泥流堆積層

木曽川泥流堆積層は,後田川より北側では,山王寺下の道路沿い,山王寺の弘法大師像のある広場の崖,善光寺の裏の崖に露出する.山王寺下の道路沿いには,赤褐色のスコリアを含む泥流堆積物からなる(写真3−1−2−2).山王寺の弘法大師像のある広場の崖では,オレンジ色の軽石を多含する軽石流堆積物からなる.善光寺の裏の崖では,固結した泥流堆積物からなる.善光寺裏の露頭の標高は,約320mである.

写真3−1−2−2 木曽川泥流堆積物

後田川南側では,L1−1面分布域で駒場,角田北方,JR中央線付近に点在する.これらの地点での木曽川泥流堆積物はいずれも,赤褐色スコリアを多含する泥流堆積物からなる.駒場では,標高314mの小丘を形成している(写真3−1−2−3写真3−1−2−4).

写真3−1−2−3 駒場の木曽川泥流堆積物からなる小丘   

写真3−1−2−4 左の人物付近に露出する泥流

角田北方のL1−1面の段丘崖では,M2面構成層の上に,直接木曽川泥流堆積物が載っているのが確認された(写真3−1−2−5).JR中央線付近では,中切橋北方の踏み切り脇の道路切割り,中切橋西方の耕地整理現場などで露出する.

また,調査範囲外ではあるが,中津川市東部の北野町の道路のり面上方にオレンジ軽石を多含する軽石流堆積物が分布する.この軽石流堆積物は,標高約330mのM2面の縁に,標高約320mの小規模な平坦面を形成している.

写真3−1−2−5 M2面構成層の上に木曽川泥流が載る

・L1−1面構成層

中津川左岸の最低位面とL1−1面の段丘崖にところどころ露出がある(写真3−1−2−6).花崗岩礫が主で,礫径は50cm大以下のものが多く,淘汰は悪い.マトリクスは,粗粒な砂からなり締りは悪く,斜面での落石が目立つ.三菱電機中津川製作所ののり面などでは,マトリクスに黒色の腐植土が混在することがある.

写真3−1−2−6 三菱電機中津川製作所のL1−1面構成層

・L1−2面及びL1−3面構成層

直接露頭では確認していない.