(2)屏風山断層

既往調査結果と上記の本年度調査結果から屏風山断層の性状は以下のようにまとめられる。

@屏風山断層は東濃丘陵と恵那山地を境する長さ約32kmで,南東側隆起の逆断層である。断層の方向は概ね北東−南西方向を示し,断層面の傾斜は概ね南東に傾斜する。

A断層を横断して分布する第四紀後期の地形面の変位地形の有無から,長さ約18kmの南西部と,長さ約14kmの北東部に区分される。

B南西部の大草地点において,土石流堆積面のうちF3(2)面の縁辺部の再堆積と判断される地層から広域テフラであるDNP(大山生竹;約8万年前)が含まれていることが明らかになり,同面の形成は8万年前以前である可能性があることがわかった。屏風山断層はこのF3(2)面を横断するが,そこには変位地形が認められない。また,花崗岩と更新世前期〜中期と判断される土石流堆積層(fd0層)を境する断層が認められたが,fd0層中で断層は不明瞭になることから,南西部における同断層の最終活動時期は新しくとも8万年前以前と判断される。

C北東部の中垣外南東地点では,断層を横断して分布する土石流堆積面のうち,F5面の形成時期が,同面構成層中の腐食物の年代測定から約3000年前であることがわかった。F5面に変位地形がないことから,中垣外南東地点において屏風山断層の最新活動時期は約3000年前以前であるといえる。ただし,土石流堆積面でありF5面よりやや高位(古い)のF2面およびF3面には変位地形の可能性を有する崖地形が認められることから,第四紀後期に活動した可能性は残されている。