3−3−3 富田地点 ボーリング調査

恵那山断層の位置を特定することと,トレンチ掘削深度以深の地層の変位量を求める目的でボーリング調査を実施した.ボーリングは,孔径86mmのオールコアの仕様で,計7孔,総延長85mを掘削した.ボーリング孔の配置は図3−3−3に示すとおりである.

ボーリング゙調査の結果,基盤中(瑞浪層群と花崗岩類を境する)に逆断層を確認した(写真3−3−11).

写真3−3−11  ボーリングbV孔において確認された逆断層

ボーリング調査結果とトレンチ掘削(詳細については3.3.4で後述する)の資料から地質断面図を作成した(図3−3−7図3−3−8).

基盤の瑞浪層群や花崗岩の上に堆積した堆積層は、下位よりfd3層、fd4−1層、fd4−2層に区分される。fd3層はM層(砂)、L層(クサリ礫砂礫)、K層(砂・シルト)からなる。M、L層は断層の両側で分布が確認されるが、K層に関しては、トレンチにおいて断層上盤側で確認されるもののボーリングでは確認されず、上位層に削られているものと判断される。

fd4−1層は、J層(砂礫〜極粗粒砂)、I層(砂・シルトで腐植土を伴う)からなる。I層は断層両側で確認されるが、J層はトレンチにおいて断層上盤側で確認されるもののボーリングでは確認されない。J層は断層下盤側で厚くなる傾向があり、年代については、bP孔のI層から採取した腐植土が17,620yBPを示す。

fd4−2層は、断層下盤側で、G層(砂礫)、F層(砂礫・シルト)、E層(礫混じり砂)、D層(砂礫)、C層(シルト、ローム質)からなり、断層上盤側でH層(礫混じり砂・砂・シルト)からなる。断層上盤側のH層は、以下の理由から断層下盤側のC層〜E層に対比される。

@層相的には下盤側のD・E層と似ている。

A得られた年代値が6,590yBP(トレンチ)で、下盤側のC層から得られた年代値6,710yBPとほぼ同じである。

B火山灰分析の結果で、C層、D層、E層、H層はいずれもATに相当する火山ガラス・斜方輝石、および大山ホーキ(表3−3−4参照)に相当する斜方輝石の混入が認められる。下位のG層、J層、K層、L層には混入していない。