(2)地質構造

BT−1トレンチでは、トレンチ両壁のほぼ中央部に傾斜30°〜50°を有する層厚約1mのシルト層(H1層)が分布する。H1層の上位層は一般に10〜20°と低角度の分布および堆積構造を有し、H1層にアバットする。H1層の下位層のうち、H2層はH1層と同様の分布および堆積構造を有する。H2層の下位層はH1層とH2層の分布および堆積構造とは斜交し、10〜20°と低角度の堆積構造を有する。

@H1層の分布および構造

BT−1トレンチでは西壁のTD=8.2m,D=5mからTD=18.3m,D=9mと、東壁のTD=7.6m,D=5mからTD=17m,D=9mに層厚約1mのシルト層(H1層)がほぼ連続して分布する。そのほか、西壁のTD=0.6m,D=1.5mからTD=2.7m,D=2.5mと、南壁のD=1〜2m付近にシルト層(H1層)がほぼ連続して分布する。当トレンチ中央から下流側の西壁のTD=13.5mからTD=18.3mと、東壁のTD=13mからTD=17mでは、H1層は緩傾斜で10°程度北傾斜である。当トレンチ中央部付近の西壁のTD=8.2mからTD=13.5mと、東壁のTD=7.6mからTD=13mでは、H1層は上流(南)に向かって序々に傾斜が急になり、30〜50°北傾斜である。さらに上流(南)の西壁のTD=0.6mからTD=2.7mと、南壁のTD=0.1mからTD=9.7mでは、H1層は緩傾斜で10°程度北傾斜である。

AH1層の上位層の分布および構造

H1層の上位層のうち、G層はH1層と同様の分布および堆積構造を有する。

F層とE層はH1層とG層にアバットする。H1層が傾斜30°〜50°となる区間ではTD=13mより上流側では、F層とE層は20°程度で北傾斜する。当区間のF層およびE層の分布と堆積構造はH1層より緩やかな傾斜であるが、上位のD層やC層よりやや急傾斜である。

D層はチャネル状に分布する。D層は急傾斜するH1層と直接接しないため、H1層との構造の違いの詳細は不明であるが、C層など上位層と調和的であるようにみえる。

C層は分布範囲が限られることと層相およびランダムな堆積構造から、崩壊性堆積物であると考えられる。C層はH1層、G層、F層、E層およびD層を覆い、H1層、G層、F層およびE層の構造を切って分布する。

B層はH1層やG層と直接接しないため、H1層やG層の急傾斜区間との関係は不明である。ただし、B層はC層の上位に位置するためH1層やG層の急傾斜区間とは構造的に斜交と考える。

A層は西壁のTD=8〜9m付近と東壁のTD=8m付近でH1層やG層の急傾斜区間を切って、ほぼ原地形面に調和的に分布する。

BH1層の下位層の分布および構造

H1層の下位層のうち、H2層はH1層と分布および堆積構造が調和的である。

I層は10°程度北傾斜する。急傾斜するH1層やH2層とは直接接しないため、構造的な関係は不明である。

J層とK層中の堆積構造は10°程度北傾斜する。南壁と、西壁のTD=0〜6mと、東壁のTD=0〜1.5mでは、J層およびK層はH2層と調和的な分布と堆積構造を有する。一方、西壁のTD=7〜8mと東壁のTD=4〜6mでは、J層とK層はH1層やH2層と分布と堆積構造が斜交し、H1層やH2層に侵食されたようにみえる(詳細スケッチ図3−2−5−1図3−2−5−2)。