(2)屈折率測定方法

測定には、浸液の温度を直接測定しつつ屈折率を測定する温度変化型測定装置を使用した。測定精度は火山ガラスで±0.0001程度である。

顕微鏡は、ニコン顕微鏡ECLIPSE600シリーズ(扁平・位相差装置付)、位相差用対物レンズ(10倍および長動作20倍)、光源は12V100Wハロゲンランプ、全誘電干渉フィルタ−(589.3o)を使用した。温度変化装置として全面等温度透明加温板(0.1℃の制度で制御可能)、プログラム温度コントローラー(0.1℃の制度で制御可能)、高感度熱電対(0.1℃の制度で制御可能)、パーソナルコンピューターを使用した。

以下に測定の手順を示す。

顕微鏡ステージ上に設置した加圧板に、浸液と試料および熱電対とを密封した極薄いカプセルを乗せる。カプセルは、大きさ18×24o、厚さ0.12×0.17oのガラス板(下板)と、直径18oで同じ厚さのガラス板(上板)との間に、熱伝導性の高いシーリング材を使用して浸液と試料および熱電対を密封したもので、総厚が0.5〜0.6o程度である。浸液は単一化学式を有する有機化学合成液である。つぎに、加温板の温度を制御して、ほぼ一定の温度変化速度で、浸液および試料の温度を室温〜60℃の範囲で変化させる。この様子を、位相差状態の顕微鏡で観察する。観察時の波長はナトリウムD線(589.3o)である。この画像を観察しながら、ガラスの輪郭が消失する温度を記録した。屈折率は、あらかじめ作成した各浸透液の温度と屈折率との一次式から変換され、パーソナルコンピューターに記録される。測定個数の目安はガラスが30片、斜方輝石が10片である。ただし、値にばらつきがある試料では、モードを把握できるまで測定した。記録された屈折率、熱電対の温度データはリアルタイムにパーソナルコンピューターに入力され、温度、測定個数などとともに屈折率ヒストグラムとして出力した。