(2)手賀野断層

手賀野断層は段丘面がよく発達する恵那盆地中に位置することから,変位地形が明瞭でほぼ連続的に認められる。特に同断層北東部の中津川市深沢から手賀野(Loc.17)では,高位段丘面(H1面)や中位段丘面(M1面,M2面,M3面)の変位の累積性は非常に顕著である。一方,同断層南西部では,断層は2条に分岐し変位地形も断続的で不明瞭となる。また平均変位速度は北東部で0.07〜0.12m/103年,南西部で0.02m/103年と推定され,活動性にも違いがある可能性がある。

手賀野断層の活動性の評価に際し,@同断層の活断層としての性状(最終活動時期,平均変位速度,活動間隔,単位変位量など)を詳細に解明することが最優先課題である。さらには,A同断層の北東部と南西部で活動性が異なる原因や,B屏風山断層の活動との関連性を解明するための調査が望まれる。

@の課題について,各段丘面の形成年代がわかれば,高位段丘面形成から中位段丘面形成に至る時期の平均変位速度などが明らかになる。現段階ではM3面以外の地形面の形成年代は特定されていない。また本調査ではM3面以外の地形面の形成年代を示す試料は得られなかった。そのほか手賀野断層の最新活動時期など最近の断層運動を明らかにするために,ボーリング調査やトレンチ調査などを実施する必要がある。AとBの課題については,@の課題が明らかとなった後の検討課題として位置付けられる。