(6)猿投山北断層

猿投山北断層は愛知県豊田市広幡から土岐市曽木町北方至る長さ約21kmの断層で,岐阜県側では長さ約11kmである。リニアメントは山地と谷底平野の境界部,直線状谷,尾根・谷などの100〜250m右横ずれ屈曲が判読され(Loc.25,Loc.27,Loc.29)全体に明瞭である。猿投山北断層の北東端では,リニアメントは小里城跡付近で不連続となり屏風山断層には連続しない。先第四系の基盤地質は花崗岩,美濃帯堆積岩類を主体とし,一部瀬戸層群土岐砂礫層,花崗閃緑岩,ドレライト岩脈が分布する。これらの基盤岩を覆う第四系は低位段丘堆積層(L3面相当),土石流堆積層(F5面,F6面相当)が分布する。猿投山北断層の地質断層露頭は土岐市曽木町下の肥田川河床(SN−9)と土岐市蘭仙北方の林道小里線(SN−18)の2地点で確認されたが,第四系と関連は不明である。断層変位地形は断続的に沢や尾根の100〜250m右横ずれ屈曲が断続的に認められる(Loc.25,Loc.27,Loc.29)ほか,土岐市柿野温泉北方で北西側隆起の谷の閉塞により湿地が形成されている(Loc.29)。

土岐市鶴里町上〜中〜下(Loc.24)(図3−1−5−21)では,猿投山断層沿いの基盤地質は花崗岩からなる。リニアメントは山地と谷底低地の境界付近に分布する。土石流堆積面(F6面相当)がリニアメントを覆って分布するが,F6面に断層変位地形は認められない。

土岐市柿野温泉北方から新陽カントリークラブゴルフ場では断続的に断層変位地形が認められる。土岐市柿野温泉北方(図3−1−5−22)(Loc25)では沢が約250m右横ずれ変位し,北西側隆起の断層変位により谷が閉塞し湿地が形成されている。土岐市新陽カントリークラブゴルフ場(図3−1−5−22)(Loc26,Loc.27)では約100mの尾根・沢の右横ずれ屈曲が認められ,一部には分離丘が見られる。

土岐市郷之木北方では(図3−1−5−23)(Loc.29)では約150mの沢の右横ずれ屈曲様地形みられる。土岐市蘭仙北方では美濃帯堆積岩類と花崗岩の地質境界が約250m右横ずれ屈曲する。