6−2 牧ヶ洞断層の活動時期の検討

牧ヶ洞断層は、確実にD層、E層、F層を切っている。年代測定の結果、C層最下部のC−d層は6,800年前から6,900年前の、F層は5,400〜6,400年前程度の堆積物と考えられる。したがって、断層は5,400年前以降活動したことは確実である。

しかし、今回の調査では、断層を確実に覆い、なおかつ断層変位を受けていない地層を特定できなかったため、最終活動時期を限定することはできなかった。

C層内部のC−b層については、断層変位による何らかの影響を受けている可能性は否定できないが不明である。仮に、C−b層の屈曲が断層変位の影響を受けたものとするならば、約2,900年前以降1,500年前以前に最新活動があったことになる。F層の構造の複雑さからみて、1回の断層活動で形成されたとは考え難く、さらに新しい活動を含めた複数回の活動があった可能性は否定できない。

また、小盆地内にはトレンチ調査地点よりもさらに比高の低い微高地(H6)と、直線的なチャネル(C7)がみられる。これは新しい時代に形成された非常に若い地形と考えられるので、5,400年前以降かなり新しい時代に最新の活動があった可能性は、地形からも支持される。

5,400年前以前の活動については、D層およびF層の配置からみて、D層堆積後にF層が堆積するような堆積場が断層活動により形成されていたと考えられる。したがって、6,400年前以前、18,000年前以降に、少なくとも1回は断層活動があった可能性がきわめて高い。

また、D層およびE層の配置からみて、E層堆積後にD層が堆積するような堆積場が断層活動により形成されていたと考えられる。したがって、18,000〜19,000年前以前にも少なくとも1回は断層活動があったのは確実と思われる。