4−4−2 現況地形と断層との関係

トレンチ調査位置の東側にみられた地形的な高まりは§3のH5微高地(比高は0.6〜0.7m)である。H5微高地の南西側にも小微高地(比高0.5m)がみられる。トレンチ調査位置を流れるチャネルは、北西−南東へ流れ下ってくるが、H5微高地にぶつかり北−南に方向を変えて3m程度流れた後、再び北西−南東へ方向を変えて流れ下る。緩い逆S字型に屈曲しており、H5微高地を回り込んでいる。

トレンチ調査の結果、微地形と地質構造との関係が明らかになった(図4−5)。

H5微高地、小微高地はいずれも断層の南東側に位置し、主としてE層が分布していた。E層の最上部にはロームあるいはローム質な堆積物が分布しており、トレンチ底には基盤岩や基盤岩の破砕帯が認められた。一方、H5微高地および小微高地の北西側にひろがるごく緩やかに南東へ傾斜する斜面は、断層の北西側に位置し、主としてD層が分布していた。微高地の北西側に分布するD層の上位には湿地性のA−a層が分布しており、逆S字型に屈曲しているチャネルはこのA−a層をわずかに刻んで流れていた。

調査位置北西側から延びてくる高まりは、B層に対応することから、土石流堆積物の末端と考えられる。

また、No.1トレンチにのみ分布する腐植質なC層は、現況の地形とは関係なくチャネルの南西側に分布していた。ローム質な地層は主として断層の南東側の小微高地に、腐植質な地層は主として断層の北西側の現在の湿地に分布しており、現在の地層分布と同様の傾向がみられる。C層の下部の浅いU字状をなす堆積物(C−c層およびC−d層)は北東から南西方向へと断層に沿って分布する可能性が高く、現在のチャネルとは異なる延びを持つと思われる。