(3)No.1トレンチの地質構造

No.1トレンチSW面では、トレンチ底から南東へ高角度に傾斜したF1断層と、巨礫を挟んでほぼ垂直に延びるF2断層面が壁面半ばまでは確認できたが、それより上方では明瞭な断層面としては認められなかった。地表踏査時にみられた厚い腐植層は、トレンチ底から延びる2本の断層の真上を中心に堆積しているのが確認できた。

同NE面では、南東へ高角度に傾斜したF1断層がトレンチ底から地表面直下まで延びており、さらにその南東側には壁面半ばまで延びるほぼ垂直なF3断層が認められた。

No.1トレンチでは、F1断層を挟んで北西側にはD層が、南東側にはE層と基盤岩の破砕帯が分布する。D層、E層とも角礫が多く混入する礫主体層(D−c層、E−c層、E−d層)と礫が点在するものの粘土質の基質が卓越する粘性土層(D−b層、D−d層、E−b層)から構成されている。D層、E層ともに明瞭な層理面は認められないが、内部の堆積構造として礫が堆積面上に並んでいることから、土石流堆積物の重なりで形成されたと思われ、ほぼ水平であると考えられる。

F2断層、F3断層の関係は不明であるが、F2断層はF1断層上に大礫があったため派生した断層である可能性が高いことから、おそらくF3断層へは連続しないと考えて別名とした。