(2)No.1トレンチNE面の断層

写真4−7

No.1トレンチNE面では、壁面ほぼ中央のグリッド5.9〜6.5にかけて、高角度に南東に傾斜する比較的明瞭な1枚の面を境にして、D層とE層が接しているのが確認できた。この面をD層とE層の境界としたのは、この面を挟んで両者の間に固結度、礫の含有率、基質の粘土・シルトの含有量などの差異が認められたからである。

この面は、トレンチ底から地表面直下の大礫の下面まで、D層とE層の境界をなしており、明瞭である。しかし、境界に沿う礫の配列の乱れや、再配列などは認められなかった。

No.1トレンチSW面の断層の項で述べたようにD層、E層の地質的特徴を考慮すると、NE面においても形成時期の異なるD層とE層が高角度の面で接していることになる。また、NE面においても境界より南東側のE層の下位には基盤岩の破砕帯がみられるが、北西側のD層の下位にはみられない。このような地質構造から、NE面においてもD層とE層の境界は断層と考えた。

断層はトレンチ底から地表面直下の大礫の下面までD層とE層の境界をなし、南東に高角度で傾斜している。この断層は、SW面からトレンチ底面をへてNE面に連続するのを掘削時に確認しているので、SW面同様F1断層とする。

NE面においても、断層の北西側に分布するD−c層で、F1断層の近傍の幅30〜40cmぐらいで礫の配列が乱れているのが認められた。

また、トレンチ底付近では基盤岩の破砕帯とE−d層との境界をなす面は、その上方のE−d層内で、小礫が長軸方向を立てて面に沿って並んでいることから、E−d層半ばまで延びることが確認できた。礫が再配列していることから、この面は断層であると考えた。この断層をF3断層とする。E−d層半ばより上方では、何らの面や堆積構造の乱れなどは認められなかった。

SW面ではC層下部がF1断層、F2断層付近を中心として浅いU字状をなして分布していたが、NE面ではF1断層であるD層とE層の境界直上に大礫があること、大礫の北西側のC層下部と思われる強腐植土は掘削時に乱されていることから、C層下部とF1断層との関係を明らかにすることはできなかった。

写真4−7 No.1トレンチNE面 断層近傍