(7)基盤岩ないし基盤岩の破砕帯

濃飛流紋岩類(流紋岩質火山礫凝灰岩)からなる基盤岩は、No.4トレンチのNE面からNo.2トレンチのSE面にかけて分布する。著しく破砕を受けたうえ強風化しており、角礫状の岩芯が残るものの全体としては礫混じりシルト質砂状になっている。強風化のため黄褐色化し、石英以外の鉱物は変質している。

基盤岩の破砕帯は、No.1トレンチ、No.4トレンチの両壁面最下部およびトレンチ底で認められる。No.1トレンチでは、断層面から約50cm間では緑色を帯びた灰黄色であるが、断層面から離れるにしたがって青白色〜青灰色粘土へと変化する。断層面から2mの間は著しく粘土化し、原岩組織は完全に失われているが、断層面から離れるにしたがって岩組織が認められるようになる。No.4トレンチでは、断層面から約1.5mの間で、白色〜青白色粘土化が進んでいる。特にNE面の断層面近傍では、白色化が顕著である。No.1トレンチ、No.4トレンチのいずれにおいても粘性が非常に高い。

No.1トレンチNE面の断層面から南東へ3m離れた基盤岩中で計測した鏡肌(スリッケンサイト)の走向傾斜はN77°E・65°Sで、そこに見られる条線の方向は西へ7°上がっていた(写真4−5)。

写真4−5 No.1トレンチNE面の断層破砕帯中に見られる鏡肌と条線