(4)D層:角礫混じりシルト〜粘土、粘土混じり〜シルト混じり砂礫

No.1トレンチ、No.4トレンチの北西側およびNo.3トレンチに分布する。主としてA層に覆われるが、No.1トレンチではC層に、No.3トレンチでは部分的にB層に覆われる。上位のA層、C層とは腐植の有無、色調の違いに、B層とは礫と基質の割合、基質の違いに基づいて区分した。南東側の分布するE層に比べて相対的に締まりが悪い。

砂礫あるいは粘土混じり〜シルト混じりの砂礫からなる砂礫主体層と、礫混じりシルト質微細砂あるいは礫混じり砂質粘土〜シルトからなる粘性土主体層で構成される。礫径、礫の含有率、基質の粘土・シルトの含有量による層相の違いから大きく4区分できる。上位から順に、角礫混じり細砂のD−a層、角礫混じりの砂質粘性土主体のD−b層、砂礫主体層のD−c層、粘性土主体のD−d層である。

・D−a層:角礫混じり細砂層

No.4トレンチSW面のグリッド3.5〜5.2、同NE面のグリッド5.1〜6.4のいずれもF層との境界より北西側の上部に薄く分布する。D層の中の最上位層で、A層に覆われ、D−b層を覆い、南東に緩く傾斜する境界によってF層と接する。上位のA層との境界は腐植の有無に、下位のD−b層との境界は粘土の含有量の違いに基づき、明瞭である。

基質は細砂で粘土を含まないことが特徴である。細砂の基質中に新鮮な礫径1〜3cmの角礫(一部亜角礫)が全体に混入しており、その中に礫径5cm〜10cmの角礫が点在している。全般に礫は堆積面に並ぶ傾向が認められ、底面付近と上面付近に多い礫径5cm以上の礫ではとくにこの傾向が認められる。全体にごく弱く腐植分を帯び、灰色を呈する。

・D−b層:角礫混じり微細砂〜細砂混じりの粘土〜シルト

No.1トレンチSW面のグリッド6.3〜11.2(NW端)の上部1/3、同NE面のグリッド5.8〜11.0(NW端)の上部1/4、No.4トレンチSW面のグリッド3.2〜7.9(NW端)の上部2/3、同NE面のグリッド4.1〜7.9(NW端)の上部1/2〜1/3のいずれもE層もしくはF層との境界より北西側に分布する。No.3トレンチSE面、NW面の上部2/3にも分布する。A−a層もしくは一部B層、C層に覆われ、D−c層を覆う。上位の各層との区分については既に各層の項で述べたとおりである。下位のD−c層との境界は、礫の含有量の違い、基質の違いに基づいているが、境界は明瞭でなくしばしば漸移的である。

基質は微細砂〜細砂混じりの粘土〜シルトで、粘土質であることが特徴である。基質中に角礫が点在するが、礫の含有量は各トレンチの壁面によって異なる。

No.1トレンチでは、礫径2〜8cmの角礫が全体に混入している。小礫は堆積面に並ぶ傾向が認められる。礫が多い部分は基質も細砂となっている。粘土の薄層をしばしば挟む。SW面のグリッド6.5〜9.2の最上部は礫が非常に少ない。

No.4トレンチでは、礫径1.5〜6cmの角礫〜亜角礫が全体に点在するが、全体としては微細砂〜細砂混じりの粘土〜シルトが主体である。ラミナ状もしくは薄層状の粘土を挟むが連続性はあまりよくない。部分的に砂分が少ない基質となる。

No.3トレンチでは、全体としては微細砂〜細砂混じりの粘土〜シルトが主体である。礫径2〜10cmの角礫〜亜角礫が全体に点在する。SE面の下半部は粘土の含有量が多い。

D−b層は全体にごく弱い腐植質で灰色を呈するが、一部は酸化により黄褐色化している。粘土の含有量が多いところは弱〜中腐植質となることが多く、暗灰色を呈する。

・D−c層:砂礫

No.1トレンチSW面のグリッド5.8〜11.2(NW面)の下部2/3、同NE面のグリッド5.8〜11.0(NW面)の下部2/3〜3/4、No.4トレンチSW面のグリッド3.2〜7.9(NW面)の下部1/3、同NE面のグリッド4.3〜8.5(NW面)の下部1/2〜2/3のいずれもE層との境界より北西側に分布する。No.3トレンチSE面、NW面の下部1/2〜1/3にも分布する。D−b層に覆われ、一部D−d層を覆う。上位のD−b層との区分については前述のとおりである。

基質は細砂主体であることが特徴である。しばしばシルト質〜シルト混じりとなる。細砂中に角礫が混入しており、礫の含有率は各トレンチの壁面によって異なる。

No.1トレンチでは礫径2〜10cmの角礫が多く、礫の含有率は40%程度である。礫の含有率が50〜60%と高い下部は礫径6〜16cmが多い。最大礫径は70cmである。小礫は堆積面に並ぶ傾向が認められる。基質はシルト混じり細砂であるが、粘土質となっている部分的もある。薄層状あるいはレンズ状のシルト層や礫が少ない砂層を指交しながら挟む。

No.4トレンチでは、礫径1〜6cmの角礫〜亜角礫が全体に点在しているが、基質のシルト混じり〜シルト質細砂が主体である。礫径1〜2cmの小角礫は堆積面上に並んでいる。

No.3トレンチでは、全体としては基質のシルト混じり〜シルト質の細砂が主体である。No.4トレンチに近い北東側の部分では、礫径1〜6cmの角礫〜亜角礫が点在しているが、南西側の部分では礫の含有率が高く、礫径も3〜8cmと大きくなり、角礫主体層となる。特に下部には礫径が大きいものが多い。中〜小礫は堆積面上に並んでいるのが認められる。色調は灰色を呈し、ごく弱い腐植質であるが、粘土分の多いところはさらに腐植分を帯びて中腐植質となっており、暗灰色を呈する。部分的に酸化により黄褐色化している。最下部に材の破片を挟在している。

・D−d層:粘土質微細砂〜細砂混じり粘土

No.1トレンチSW面のグリッド5.8〜7.1のE層との境界より北西側の最下部に分布する。D−c層に覆われ、境界は明瞭である。粘土質微細砂〜細砂混じり粘土で黄灰色を呈する。礫を含まないことから上位のD−c層とは明瞭に区分できる。