1−7−1 地表踏査(精査)

牧ヶ洞断層の地表踏査(精査)は、平成11年度の調査で活断層地形が明瞭とされた滝ヶ洞山南東斜面の山間の小盆地で実施した。

その結果、断層変位地形として分離丘や微高地などの地形的な高まりが8カ所、チャネルの屈曲部が8カ所、凹地化した湿地帯が4カ所で確認できた。また、小盆地南東斜面末端の地形の遷緩点や三角末端面も確認できた。これらの地形は、北東−南西方向にほぼ一直線状に並んでおり、それらは少なくとも850mは連続している。

分離丘は小盆地の北東側から南西側に向かって次第に比高を増している。小盆地の北西側斜面末端付近および凹地化した湿地帯の末端から多くのチャネルが流出しており、それらの一部には分離丘や微高地の北西縁で右屈曲が認められる。分離丘と小盆地北西側斜面とをつなぐ部分では湧水帯が形成され、比高数10cm程度の凹地状の湿地が一直線状に並んでいる。

以上のような微地形は、いずれも牧ヶ洞断層の活動によって形成されたものと思われる。変位地形から推定される牧ヶ洞断層の運動センスは、南東側上がりの右横ずれで、平成10年度の空中写真判読結果とも調和的である。露頭におけるスリッケンサイト上の条線の方向(E−W方向で20°西上がり)ともほぼ一致する。

一方、断層露頭は9カ所で確認できた。いずれも牧ヶ洞断層に関連する露頭と考えられ、主として基盤岩である濃飛流紋岩類が分布している。基盤岩は、黒ボク、崖錐性堆積物、土石流堆積物などに被覆されていた。

踏査で確認できたチャネルの最小右横ずれ量は1.5〜2mであった。また、踏査で確認できた二つの微高地の比高は0.5m以下と約0.7m程度であった。