5−9−4 大原断層の活動性の評価

空中写真判読の結果,大原断層では8本のリニアメントが認められた。いずれも山地に認められたものである。

リニアメント全体のトレースとしては,リニアメント1〜リニアメント5までが1本のトレースとして分布し,またリニアメント6〜リニアメント8が2本のトレースに分岐する。これらのトレースは,小原川,馬瀬側,吉田川,奥長尾川及び気良川を横断するものの,個々のリニアメントは河川沿いに分布する段丘面や扇状地面を切っていないものと空中写真判読で判断される。また現地でもこれら地形面の断層変位は確認されていない。

したがって,いずれのリニアメントも,新期堆積物からなる地形面を変位基準面として,その活動性を評価することは困難である。

活断層図(図5−50)では,推定断層と評価した宮川断層から連続するリニアメント1については,高度不連続が明瞭であり,かつ鞍部が密に連続することから,活断層と推定される。しかし,リニアメント2〜リニアメント8については,高度不連続が認められるものもあるが明瞭さに欠けており,活断層の疑いのあるリニアメントとして評価する。

表5−9 大原断層におけるリニアメントの評価

大原断層は地質的な断層としては約19qの長さとなる可能性があるが,活断層として推定される区間は宮川断層からの延長部の約2.4qにすぎない。

図5−50 活断層図(縮尺1:50,000)