5−7−4 江名子断層の活動性の評価

江名子断層は,地質的な断層としては,前述のリニアメント1〜リニアメント7に沿って分布するものと判断される。しかしながら活断層としては,東側のリニアメント1と西側で分岐するリニアメント5〜リニアメント7は,前期ないし中期更新統を変位させている報告(鹿野勘次,1983)があるものの,リニアメントの明瞭度から判断すると現在も活動的であるかどうか疑問である。

活断層であることがほぼ確実あるいは推定される区間は,河谷・尾根の屈曲の明瞭なリニアメント2からリニアメント4である。

今回の空中写真判読と現地調査では,滝町地区において中位段丘と区分した地形面を開析する2本の沢が右屈曲を受けていることが明らかになった。ただしそれ以後の低位段丘や扇状地等の地形面に対しての変位は確認されていない。

表5−7 江名子断層におけるリニアメントの評価

江名子断層の活断層として評価される区間の長さは,リニアメント2,リニアメント3及びリニアメント4の推定区間の両端をとると約4.3qとなる。また変位は右ずれ変位が顕著である。

図5−38 活断層図(縮尺1:50,000)