5−5−5 今後の課題

河田清雄(1982)によると,前述したとおり段丘堆積物の礫層にも変位が認められるとされている。

巣野俣断層の活動性を考える場合,上記事項の確認が非常に重要な事項となる。しかし今回の調査結果では,追認あるいは否定するための十分な成果は残念ながら得られていない。

したがって,巣野俣地区においては今後の課題の第一段階として,

@断層露頭の再確認。特に段丘礫層が断層によって切られているのかどうか,あるいは基盤岩の断層崖部分に礫層が単にアバットしたものかどうかについて地質観察によって明らかにする。

A地形測量を行い,段丘面上に断層変位が出現しているか否かの調査を行う。

以上の事項を明らかにした上で,段丘礫層を切る断層が追認される場合には活動性を明らかにするための調査を計画することが望まれる。